JBL2130ユニットを交換。~夏休みの工作~

3連休でしたね。私は時間のある時にやろうと思っていたスピーカーのちょっとした改造に取り組みました。
Sansui monitor2130 SIGMA DP1 Merrill

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私が6月に購入したSansuiのmonitor2130は70年代に発売されたものですから、もう40年以上は経っている訳です。そんなスピーカーのサウンドに完璧を求めるのは元々無理筋というもので私はそういう期待は最初からしていませんでした。専門的な事を言えば、monitor2130に搭載されている30cmユニットのJBL Professional2130は、強力なアルニコマグネット仕様ですが、アルニコマグネットには減磁しやすいという特性もあるし、年代が経過したネットワークのコンデンサーには容量ヌケという問題もあります。でもオーディオというのは趣味なので、ずっと憧れだった初期型D130の流れを汲む2130ユニットと、手作りの組格子がついたキャビネットは大きさといい、色といい私の理想と言ってもいいもので、毎日一度はキャビネットを触って癒やされています。その前提を置いてですが、気になっていた要改良点の一つは、特定の周波数域で発生する「歪み」でした。歪みがあるために、音が混濁してクリアに聞こえないという問題点を感じ取っていました。あくまでオーディオレベルの音量で、オーディオレベルの聴き方をした場合に、ですが。最初に疑ったのは、30cmユニットのヴォイスコイルが磁気回路とのギャップに当たっているのではないか?という疑問です。
最初に買った状態の時についていた30cm2130には、センターキャップ下部のところに、接着剤がこぼれたのを拭いた後が見えました。これは製品出荷時にあったものとは考えにくく、発売後、コーン紙を取り替えた際などの処理が雑だったのではないか、と思った訳です。2130は民生用D131のプロバージョンで、耐入力が60wから100wまで引き上げられています。もちろんPA用途を考慮したからでしょう。そのためにヴォイスコイルのギャップは特に精密に設定されていると読んだことがあります。ヴォイスコイルが磁気回路に当たって歪みが出ているとしたら、最悪、コーン紙をもう一度張り替える必要が生じ、部品代を考えるとペアで10万円以上の出費は覚悟しないといけません。自分でやればパーツ代だけですが、そんな蛮勇はありません。
そこで、手軽な価格の2130の中古が出ていたら、一度入れ替えてみたいなと思っていました。D131ファミリーは、D131アルニコ仕様、D131H(フェライト仕様)、プロ用の#2130にもアルニコの#2130とフェライトの#2130H、楽器用途に特化したE12Oとか、豊富なファミリーがあり、70年代以降のものであればフレームは共通ですから簡単に入れ替えが可能です。最初は手軽なE120Hなどの気軽なものがあったら、とも思ったのですが、やはりSansuiのエンジニアが70年代に、なぜ民生用のD131ではなくてわざわざプロフェッショナル用途の高価な#2130をチョイスしたのかを考えると、当時の最上を選択したのだろうと想像し、その趣旨を踏まえて同じ#2130を選んだ方がいいように思えました。それで#2130の中古をオークションで何気なく見ていたら、ちょうどおあつらえ向きの保管未使用品が手軽な価格で出ているのを見かけたので何気なく入札したところ運良く落札できたので、早速入れ替えを実施してみました。

私が今回購入した、JBL Professional2130の1本。 Serial#4542 1970年代に売られていたものとしては信じられないほどフレームもキレイです。
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素人にはおよそ分からない部分ですが、コーン紙裏に書いてある英数字の記号を見ていると、こういうのはオリジナルのコーン紙かなと思ったりします。C2の文字が見えるでしょうか。
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コーン紙表面もキレイ。センターキャップも新品のようです。もちろん接着剤の液ダレはありません。
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もう一本のSerial#4549。こちらも、フレームはとってもキレイです。
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こちらには小さな問題があって、コーン紙に1cmほどの破れがあります。でも、正直なところ完璧を求めるつもりはありませんし、こうした欠点があったからこそリーズナブルに落札できたと思います。それに、素人考えですがこの程度の裂けが音質に問題を及ぼすとはおよそ考えられません。それにこの傷には、裏面からスピーカーメンテナンスで使われるボンドで補修がされてありました。何しろコーン紙は「紙」ですからこれで十分だと思います。
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交換作業といってもそんなに難しいものではありません。monitor2130の#2130ユニットはネジ4本で留まっているだけですからそのネジ4本を外して配線を付け替えてもう一度、装着すればいいだけ。1本15分もあれば作業できます。ユニットを外すとこんな感じ。奥にネットワークが見えます。

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コンサート会場などで使われる#2130ですから、交換は迅速にできるようにターミナルもプッシュ式ですぐ交換できるようになっています。ハンダは要りませんし、もともとも半田付けはされていませんでした。
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あっという間に作業完了。そわそわと音だししてみました。
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結果は、、、残念ながら非常に似た、いや同じユニットを交換しただけなので当たり前ですが、同じ音が出ました。気になる歪みの部分は同じでした。
ただし全体的には、中低音にバランスのあるふくよかな音質で、満足度は変わりません。美しいユニットが付いた、とりあえず今回はそれで満足しようと思いました。
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右側に付けたこのユニットの傷も、こうやってシステムに着いてしまえば全く気にはなりません。
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外した方の#2130ユニットの片方は磁気回路のプレートの部分がかなり腐食が見られます。フレームにも錆かなと思われる浮きがちらほら見られます。Serialも3000番代なので、今回私が買ったユニットより以前のものなのかもしれません。コーン紙はリコーンされているのかなと思っていましたが、こちらもコーン紙裏の「K」のロゴを見ているとオリジナルかな?と思ったりしました。まぁ素人には分からない部分だと思います。いずれにしても今回買ったユニットの方が全体の状態はいいと思います。
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そんな訳で夏休みの工作は終わりました。後はネットワークのコンデンサー容量ヌケによるツイッター077からの聴感上の歪みなのか、あるいは他の原因なのかを慎重に探りつつ、時間を掛けて手を入れていこうと思いました。monitor2130のネットワークは、7KHz、12dB/octの回路なので、LCコイル、コンデンサーの組み合わせ回路だと思いますが、仮にこちらに手を入れないでも7kHz、6dB/octのローカットでいいのであればコンデンサー1本Tweeterに噛ませればいいだけなので、何かの機会に試して見ようかなとは思ったりします。#2130の交換したユニットはしばらく交換パーツとして保管しておく予定です。

by bjiman | 2017-08-14 02:30 | PCオーディオへの道
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