誰のための自動車評論なのか③~TOYOTA CAMRY と米国流②~

自分が青春時代を過ごした'70年代後半~'80年代頃のCGを何冊かストックしている。
CGは初代FFカムリを高く評価していた。'82年10月号では、当時の小林編集長がカムリが販売不振であることが不本意の極みであるとして、このクラスが国際的には最も重要なクラスであるだけに、日本でももっと売れないと国際競争力の点でも不利であると懸念し、クラウンよりもカムリに乗るように戦略していくべきだと書いておられた。
その後、カムリは世界9カ国で生産、100カ国以上で販売され、アメリカで13年連続乗用車販売1位になるというとんでもない金字塔を打ち立てる文字通りの大黒柱に育ち、まさにCGの指摘通りになった。さすがの慧眼だと思う。

(TOYOTA CAMRY '北米仕様’ @TOYOTA MEGA WAVE 2015年1月 / SIGMA DP2 Merrill)

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しかし、2014年現在、国内販売台数ベスト30に入っているセダンは、4位のカローラ(11万4千台、ワゴン込み)と15位のクラウン(4万9千台)だけである。カムリは11月までに約8千台しから売れていない。カムリは、今日の日本においても販売台数は限定的なものだ。
カムリは米国では2014年だけで42万台も売り上げている。こうなると、経済誌などでは、米国でベストセラーのカムリやホンダアコードなどが日本では売れないということが悪いことのような書き方をするアナリストもいる。クラウンとサイズもほとんど同じなのだから米国人の選んだカムリの方が合理的だというような記事を読むと本当に困ってしまう。単純な善し悪しの問題ではない。個人の見解の相違といってしまえばそれまでだが、分析要素に「地域特性」と「歴史」を入れて考えるべきだと思うし、そうでなければ事実としての販売台数の違いを説明できない。

(TOYOTA CROWN ATHLETE @TOYOTA MEGA WAVE 2015年1月 / SIGMA DP1 Merrill)
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1982年当時のCGが、初代カムリを押す理由は、ファミリーカーとしてはカムリのような全長4,500mm程度までのFF車で十分(実際、当時のカムリが売れない理由のひとつに、「広すぎて落ち着かない」というコメントが見られたほど)であって、これ以上大きなクルマは標準的な家庭には不要だというものがあった。
しかし、カムリは、1982年からの成長の過程でとても大きくなった。
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カムリは、1982年の初代FFカムリと比べて、この23年で全長が+41cm、全幅が+13.5cmも大きくなっている。これに対してクラウンは、サイズアップの幅がずっと抑制的であり、1982年の2000cc車(5ナンバーサイズ車)ではカムリと比べて25cm大きかったが、2015年現在では、全長の差は僅か4.5cmに過ぎず、全幅は、カムリよりも25mmも狭い1,800mmジャストである。今やカムリは、全幅ではクラウンより大きなサイズのクルマなのだ。
このサイズアップは、もちろん北米でベストセラーを続けていくための変化であり、また、逆に言えば、クラウンのサイズは、国際的に見れば例のない、日本独特の縦長である。これが、まず第一にクラウンとカムリの今日における性格の違いだ。
(続きは次回。)

2015.1.25 bjiman
SIGMA DP1 Merrill,DP2 Merrill






by bjiman | 2015-01-26 01:38 | CAR | Comments(0)
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