捕込(とっこめ)~鎌ヶ谷市の国指定史跡を歩く(後編)~

新京成電車の旅シリーズのハイライト、今回は、平成19年に小金牧関係の史跡としては初めて国指定史跡に指定された鎌ヶ谷市の捕込(とっこめ)を訪ねます。

(1) 捕込は、北初富駅が最寄りです。  (SIGMA SD1 Merrill/SIGMA 17-50mmF2.8,以下同じです。)
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(2) 北初富駅は高架工事の関係で、高架駅が完成するまでの間、こちらに移設されることになっていますが、工事は遅れており、完成していないようです。工事中の橋脚はむき出しの鉄骨が見えています。
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(3) 捕込は、駅から歩いて5分ほど、あっという間に着くのですが特に案内看板がある訳ではないのでうっかりすると通り過ぎてしまいます。この駐車場の一角に見えるのが捕込です。
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(4) 入口はこんな風になっています。
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(5) 国指定史跡の説明看板があります。
看板の内容を書くのは大変なので(笑)昨日の再掲になりますが、文化庁が国指定史跡に指定した際の指定理由を引用します。
「江戸幕府が軍馬供給をまかなうため直轄して設置した小金牧の一つ中野牧の遺跡。放し飼いされた野馬を捕獲選別する施設である捕込や、馬を捕込に追い込むための野馬土手が良好に残る。江戸幕府の軍事力を支えた軍馬生産を知る上で重要。」
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(6) 最初に全体の構造を鎌ヶ谷市郷土資料館にある模型でご覧下さい。 (SIGMA SD1 Merrill/SIGMA 10-20mmF4-5.6,撮影許可を得ています。)
捕込は、このように土手に囲まれた3区画から成っています。(4)の写真の撮影位置は、丸印をしてあるところです。
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右上の区画が野馬を施設内に取り込み、網掛けして捕らえる区画(捕込)、左上の区画が捕らえた馬を選別し、軍馬として幕府に送る馬や農耕馬等として払い下げる馬を溜めておく区画(溜(ため)込)。左右両区画の上には、役人が野馬捕りを検分した場所(御小屋場。地元の人は御照覧場と呼んだそうです。)があります。
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下の区画は、捕らえた野馬のうち、若い馬等を野に返すための区画(払込)
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このうち、現存しているのが溜込と払込の部分です。写真は、以下図の「現在地」の部分から撮っていきます。  (SIGMA SD1 Merrill/SIGMA 17-50mmF2.8,以下同じです。)
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(7) 払込の出口部分。馬が野に出る部分は狭くて馬一頭がすり抜けるのにほどよい程度しかありません。
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中に入ると、こんな風になっています。払込として使われていた時代は、周囲の樹木はなかったのではないかと思います。右側の土手上が捕込です。
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払込の奥部分。土手が見えています。
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この土手の向こう側には、茶番所(ちゃばんしょ)と言われた見物客向けの茶店が設けられていたそうです。
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階段から土手上の高さまで上がれる場所があります。そこから払込を俯瞰した感じです。高い土手に囲まれた区画の雰囲気があります。
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(8) 土手の向こう側から見た写真。この左向こう側が溜込で、土手辺りに見物脚がお茶をする茶番所があったのでしょう。
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こちら側にも説明版があります。こちら側は、ぐるっと回ってこないと見られないので案外気づかない方も多いのはではないかと思います。
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この捕込の保存の歴史は古く、今日の国指定への道のりは関係者の継続的な熱意と努力があってこそとの事。鎌ヶ谷市教育委員会の資料によると、昭和40年に都市計画道路がこの捕込の一角を通ることが分かり、まず地権者が捕込保存の重要性を当時の鎌ヶ谷町教育委員会に訴え、教育委員会も保存のためには県指定史跡の指定を取らねばと測量調査を実施。町と県の連携により昭和42年に千葉県指定史跡「小金中野牧の込跡」として指定され、都市計画道路の路線を変更させることが出来たとか。入り口脇には、当時の連携を象徴するように、県指定史跡の碑が建っています。
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しかし、保存は地権者の理解協力頼みであり、40年の日々が経過するとともに理解協力だけでは維持保存が難しくなったことから、県教育委員会は「房総の近世牧跡」として調査報告書をとりまとめ、市はこれらの成果と合わせ、初富小学校校庭に残る野馬土手と一体で文化庁に国指定史跡の指定を申請し、国指定史跡の指定を受けることにより、史跡内の公有地化を実現。このような関係者が一体となった連携と協力で捕込の保存体制が構築されたという事。何だか昔の「プロジェクト何とか」みたいな話ですが、これだけの土地の公有化を実現するための関係者の努力は大変なものがあったんだろうなと思います。
 私たちは、ここにいる時、偶然にも居合わせた元地権者の方からお話を伺うこともできました。とにかく当時の関係者がこの捕込は貴重だから残してくれととても熱心だったとの事でしたが、「もっともっとこの辺一帯に土手があったんだよ」とのお話ぶりからも熱意が伝わってきてとても幸せな気持ちになりました。手元の資料によると、小金牧の各牧内に約1カ所程度、計5箇所はこのような捕込があったと思われますが現存するのはここだけ。何より江戸時代の息吹を伝えるリアルな本物としての迫力が関係者の熱意を引き出したのかもしれませんが、この場所は理解のある地権者、関係者に恵まれて幸せな場所だと思いました。
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(9) このすぐ近くに貝柄山公園があります。
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貝柄山公園のある地域はかつては谷津で水田としての利用もされたそうです。全体が窪地になっています。
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この公園内に、「小金中野牧の野馬」像があります。野馬は国産馬なので、サラブレッドのような感じではなくちょっと小柄です。プレートには、当時の野馬の姿を参考に製作した旨の説明があります。
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(10) 馬三昧の1日でした。なお、もし捕込にご興味をいただいた際は、「鎌ヶ谷市郷土資料館」に詳しい展示がありますのでご覧いただけると嬉しいです。熱心な学芸員の方がいらっしゃり、私たちが訪れた時にもとても熱心にご説明をしていただきました。初富駅下車数分。図書館の隣りです。 (SIGMA SD1 Merrill/SIGMA 10-20mmF4-5.6)
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かわいい専用パンフレットもあります。 (この写真のみRICOH GRD2)
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(11) 平成19年に捕込が国指定を受けて以後、鎌ヶ谷市では、捕込を活かしたまちおこしを行っていて、捕込関係のイベントを多数企画しています。私も、最近偶然、新京成電車巡りを始めてこの地域の歴史から必然的に小金牧に夢中になりましたが、何だか最近この地域では「牧」がちょっと「来て」います!  (SIGMA SD1 Merrill/SIGMA 17-50mmF2.8)
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2013.4.13,4.27 鎌ヶ谷市北初富駅近く 捕込にて
SIGMA SD1 Merrill
SIGMA 17-50mmF2.8
SIGMA 10-20mmF4-5.6
RICOH GRD2
by bjiman | 2013-05-01 10:29 | 新京成電鉄沿線散歩(new!) | Comments(0)
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