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小森草木染工房の角帯~男着物・3年目の着物道楽 その17~

 私の博多織の角帯コレクションの中でも異色なのが、小森草木染工房の角帯
 小森草木染工房は、筑前秋月(福岡県朝倉市)の小森久さんの工房です。独自の草木染め技術で優しい色の帯を作る小森氏は、旧甘木市(現朝倉市)から市の無形文化財に指定されています。
 そんな小森草木染工房の帯は、女性用の袋帯や名古屋帯がほとんどですが、地元の伊勢丹で開かれた九州展に出展していた小森さんを覗いた時に見つけたのがこのちょっとドレッシーな角帯でした。
 女性用の生地を使ったということで手触りはとてもしなやか。表裏に鳥獣戯画といろはにほへとが織り込んであり、シーンや着物に応じてどちらも楽しめます。

〈小森草木染工房製の角帯〉 SIGMA DP1 Merrill
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 最近の男性用角帯は以前のものと比べると、かなり幅の太いものが見られますが、この帯も太め。量感があります。
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今年のお正月、御召しに合わせた時です。この時は「いろはにほへと」面を使いました。
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 私の角帯も素敵ですが、小森草木染工房の帯といえばやっぱり女性用の帯です。
 せっかくの機会なので、ツマの小森草木染工房の帯も載せちゃいます。
 天然の草木染めならではの優しく、日本的な色。この工房の大内絣という帯にも似た優しい色合いの帯です。
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 さて、博多織特集の最後を飾るのは、最近購入したこの夏用の角帯
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 面の表示には「紗」と書いてあるのですが、裏を見ると「羅」とある。紗なのか羅なのか分からないのですが、織り目を見ると、紗に見えるのですがちょっと不思議。ま、いずれにしても透けている夏用の涼やかな帯。これは、縞大島の反物でお世話になった、薩摩川内市にある大島のお店、「きもの幸造」さんから購入したものです。
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羅なのか紗なのか。まぁ羅とあるので羅なのでしょう。
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イメージとしては、こういう越後上布のような白の着物に合わせると似合うと思っています。夏ですね。
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以上、博多織の帯あれこれ特集でした。

2016.1.30 bjiman
SIGMA DP1 Merrill

by bjiman | 2016-01-31 06:00 | 和装・着物生活・伝統的工芸品 | Comments(0)

男の角帯・博多織あれこれ~男着物・3年目の着物道楽 その16~

男の角帯といえば、「博多織・献上帯が基本」と言ってもそう間違いではないと思います。
実際、私が愛用している帯も博多織が多いんです。

〈愛用の博多織の帯あれこれ〉 SIGMA DP1 Merrill
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 博多織の歴史は古く、鎌倉時代、南宋に渡った満田弥三右衛門と弁慶和尚という方が6年間滞在し、身につけた技術を博多に持ち帰ったのが始まりとされています。
 この技術が語り継がれ、博多の地名をとって、「覇家台織」(はかたおり)と名付けられたと伝えられているそうです。
 博多織と言えば献上帯(けんじょうおび)とも称されます。この名前の由来となったのが、NHKの大河ドラマでも取り上げていた黒田長政。黒田勘兵衛の息子の長政は、筑前を領有するようになってからは幕府への献上品として博多織を選び、帯地や生糸を献上するようになったことが博多帯が「献上帯」と呼ばれるようになった所以です。
 そして、その献上帯の代表的な柄が、仏具の独鈷(どっこ)や華皿(はなさら)をモチーフにした柄です。私も不思議に思うのですが、色んな帯、柄があるものの、男着物の姿には、この博多の献上が似合うし、使いやすいのです。

〈独鈷(どっこ)をモチーフにした帯〉
 博多献上帯の象徴ともいえる一本独鈷をフューチャリングした帯。私は初夏の単衣の時期などに合わせています。博多織のブランド、西村のものだったと思います。リバーシブルです。
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〈華皿(はなさら)をモチーフにした帯〉
 華皿も仏具で、華皿柄は、博多献上帯を代表する柄です。
 この帯はリサイクル・B反市で買ったものですが、金色の色目も藍色やグレーなど男物に多い色目の着物によく似合い、なんだかんだでもっとも使っているケースの多い帯です。相当使い込まれていたものらしく、その後私も愛用しているので、すっかり柄が擦り切れてきています。
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〈博多帯はリバーシブルが基本〉
 どちらの側も使えるって便利なんですよね。博多帯はこうなっているものが多いです。
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〈博多帯はきちんと表示がされています〉
 きちんと検査された博多帯は、博多織工業組合による証紙が貼付されています。博多のマークが金色になっているものは、絹を50%以上使っていますという証しです。
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私愛用の博多帯、明日に続きます。

2016.1.27 bjiman
SIGMA DP1 Merrill

by bjiman | 2016-01-28 05:00 | 和装・着物生活・伝統的工芸品 | Comments(0)

シルクウール・ちょっとツヤのある普段着~男着物・3年目の着物道楽 その15~

 「シルクウール」って意識しないと聞き慣れない言葉です。知ってみると、シルクとウールの混紡であぁそうかっていうだけなんですが、シルクウールの着物は、ちょっとツヤのある普段着としてオススメです。

〈私のシルクウールの着物〉 SIGMA DP2 Merrill
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 この着物、ウールの着物と同じでリサイクル屋さんで偶然見つけたものなんです。値段は忘れてしまいましたが、確か千円くらいだったと思います。値段の割にはツヤツヤしているし、正絹の割には安いし、、、と疑心暗鬼で買ってきたのはいいのですが、困ったのはクリーニング。見た目は正絹に見えるけど、ウールと正絹ではクリーニングの発注も変わってきます。目利きの方に聞いてみたら正絹ではない、ウールだと思うよ、、、という言葉を信じてウールという扱いでクリーニングに出したら、答えは「シルクウールです」ということでした。
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 正絹とウールの混紡なので、正絹のようなツヤがありながら手触りはもっこりとしたウール的な感触があります。とてもキレイで、普段着でもちょっといい着物という感じ。柄は亀甲を模したような柄で、こういうところもちょっと代替品というか普段着的なディティール。亀甲が重なったような柄が立体感を生んでいます。
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 この着物は単衣だったので、秋のお祭りの時に着ました。
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 シルクウールは、混紡とは言ってもシルクが入っているので家庭でのクリーニングはあまりオススメできないものだとか。ウールの着物は冬は暖かくて手放せないし、新品の反物だってまだまだ手に入ります。着物といえば正絹ですが、着物好きならば、冬はウールというのも実用的でオススメですよ。

2016.2.25 bjiman

by bjiman | 2016-01-26 02:06 | 和装・着物生活・伝統的工芸品 | Comments(0)

男の長襦袢あれこれ~男着物・3年目の着物道楽 その14~

 男着物の中でも「長襦袢」は、それなりに数も必要でありながら、着物の中に着るものなので心理的に費用が掛けにくく、揃える機会を逃しがちなものだと思います。
 そんな長襦袢。私は袷用の正絹が3着、単衣や夏の薄着用の2着の5着を揃えています。

(1)オーソドックスな、誂えの正絹長襦袢
   これは100亀甲の大島をリサイクルで購入した時にセットでついていたものです。長襦袢は、それ自体を単独でお仕立てするよりも、着物と一緒にお仕立てして、着物の袖から出ないように、裄(袖までの長さ)が長着よりも少し短くなるようにお誂えするのがよくあることだと思います。この長襦袢は着物とセットで購入したものなので、もちろんそのように仕立てられています。

〈正絹・誂えの長襦袢〉 SIGMA DP2 Merrill
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「龍虎相搏つ(りゅうこあいうつ)」は、龍も虎も強い動物の双璧なので、優れた実力者同士が争うことの例えとする故事のひとつのようですが、この長襦袢の絵柄は、まさにそんな龍虎図の屏風のような絵です。男の着物は、外から見える長着(着物)には無地や無地に見える縞や杢、亀甲柄のようなものを用いるので女性の染め物のような絵柄は入れません。代わりに外からは見えない長襦袢は派手に、という事でもないのでしょうが、長襦袢は龍虎や富士山などの縁起物の絵柄があるものが一般的だと思います。
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「祖仙」の号が入っているので、江戸時代中期に活躍した森祖仙さんの絵かなと思って検索してみましたがそれらしいものは見つけられませんでした。
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〈私が誂えた正絹の長襦袢〉
 これは以前もご紹介したもので、はじめて緯総絣の大島紬を仕立てた時に一緒に誂えてもらったものです。
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〈鳥獣戯画〉
 鳥獣戯画は、動物などを擬人化して描いた日本最古の漫画と言われるもので、平安時代末期から鎌倉時代にかけて僧侶などによって描かれてきたと考えられているもの。本物は京都・高山寺に現存しているそうです。この長襦袢は反物から選んでお仕立てしたものなのでそれなりに値の張るゼイタクなものになってしまいました。
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〈既製・正絹の長襦袢〉
 長襦袢は数もいるものですが、そうそう毎回反物から高価な正絹の長襦袢を仕立てるわけにもいかないなぁと思っていたころ、デパートのリサイクル着物市に出掛けた際に男着物コーナーにあったのがこの既製の長襦袢。新品で、サイズが2種類選べて着てみたらちょうど良いのが合ったので買ってきたものです。
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 芥子色のもので、半襟も同色のものがちゃんと縫い付けてあってこのまま着られるのが良かったです。
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〈夏用・絽織りの長襦袢〉
 素肌ないし肌襦袢の上に着る浴衣と違って、着物は夏でも着物の下に長襦袢を着る決まりです。といっても夏ですから暑いので、夏の着物用には絽(ろ)や紗(しゃ)織りの長襦袢を誂えるのが一般的です。
 私の夏用長襦袢は絽織りの化繊素材のものです。呉服店の店員さんから、正絹の着物の下に化繊は相性が良くなく、化繊は人工的なものだから生地が強いために上の正絹を痛めてしまうので注意して下さいと教えて頂きました。私は夏用の薄物のラインナップは、正絹の夏大島のほかは、越後上布、小千谷縮といった麻の2着と、サマーウールの1着なので、頻度からいって化繊で十分ということもあり、化繊で誂えました。夏の長襦袢はどうしたって汗とのおつき合いがあり、家庭の洗濯機で洗える化繊の長襦袢は持っておいた方がいいと思います。
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 半襟には私の好みで江戸小紋の青海波をチョイスしました。
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薄物の織り方は捩り(もじり)織りといって、経糸と緯糸を絡ませて織るようになっています。
その織り方の種類によって、羅(ら)織り、紗(しゃ)織り、絽(ろ)織りなどがありますが、絽織りは一定間隔毎に平織りと透ける面が連続する絽目(ろめ)があることで分かります。紗が全面に透け感があるのに対し、絽は透けない面もあるので着やすいということもあります。
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 参考までに、私の紗織りの帯です。 DP1 Merrill
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紗の織り方の婆は、このように全面に透けるという感じです。羅織りのようでもあります。
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〈単衣の時期用、着物生地で誂えた絽織りの長襦袢〉
 さて、袷の時期や盛夏の時期はどの長襦袢にしようかなと迷わないのですが、単衣の時期は困ります。
 単衣用の長襦袢というのはありませんから、袷用の普通の長襦袢が基本とはいうものの、昨今単衣の時期である5月や6月、特に6月には盛夏のような暑い日もあります。といっても盛夏用の薄物の長襦袢はやっぱりルール違反という気がして着られない。そんな風に悩んでいたとき、呉服店の店員さんが、女性用の絽の着物の生地で長襦袢を仕立てることを提案してくれました。絽なので透け感が目立ちにくく、色も着物の生地の中から濃いめのダークなものにしたので透け感が目立ちません。
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遠目には絽目が目立ちにくいのですが、、、
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こうやって見るとハッキリ分かります。
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〈お気軽な二部式だっていいんです。モスリンの半襦袢〉
 半襦袢というのは長襦袢の下に着る肌襦袢と長襦袢の間のような存在。下にはステテコを履くので二部式といったりします。しっかり長襦袢を着るのと違って半襦袢は気軽なのが持ち味。私はだいたい家で寛ぐときは半襦袢を着ています。肌襦袢は着ないですね。もうTシャツのままです。でもそんな風なのが戦後の「昭和のお父さん」的なスタイルだと思っています。
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 「あなた、長襦袢をいつも着るから偉いわよね」なんて言って頂いたこともあるのですが、実は半襦袢もよく着るんですとはなかなか言えません。呉服業界って何だかいつも厳しいのですが、もっとカジュアルも大事にしないと着物の普及がおぼつかないと思ったりするんです。この半襦袢の生地は、昔は長襦袢生地といえばこれ、というモスリンです。モスリンは綿や羊毛を平織りにしたものだそうで、腰紐などにも用いられます。正絹と合わせても着物を傷めないそうです。私のこれも、表面が毛布みたいに起毛されていて優しい手触りなんですよ。
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長襦袢といっても実に色々な種類があり、奥が深いのが着物世界の楽しみです。長襦袢は、着物の下に隠れているので手を抜こうと思えば抜けますが、でも、長襦袢のサイズが合っていないと着物が上手く身体に沿わないとか、やっぱり見えないところにこそ、手を抜いてはいけないといった色んな意味で楽しみがいのあるものです。
いろんな長襦袢、楽しんで頂けましたでしょうか。

2016.1.23 bjiman

by bjiman | 2016-01-23 18:58 | 和装・着物生活・伝統的工芸品 | Comments(0)

伊達締め・オトコの腰紐~男着物・3年目の着物道楽 その13~

帯の下に仮の位置決めのような形で結ぶのが腰紐。
女性の場合は、モスリンという木綿や毛素材の白色のものをよく使いますが、オトコであれば、正絹で博多織りの「伊達締め」をオススメします。
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なぜ伊達締めをオススメするかといえば、とっても締めやすいからです。
正絹のしなやかな生地は、腰を一回りさせて交差させ、キュッと正絹の衣擦れの音を楽しんで締めた後は、織り込んでおくだけで緩みもせず、食い込みもせず(個人的感想です)ほどよい締め心地。着物の着崩れをしっかり防いでくれる大事な相棒です。
私は、長襦袢と長着用の2つの伊達締めを愛用しています。
写真上は、裏表で別柄が織り込んである袋状のリバーシブルタイプ。写真下は単衣です。単衣は軽くて締めやすいのが特徴とか。買う時は全然分かっていませんでしたが偶然、種類の違うものを買っていました。
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 正絹といってもそれほど高価なものではありません。
 角帯のちょうど半分くらいの幅ですが、ちゃんと献上柄になっていてかわいい奴です。献上柄は、地紋が下になるように使うのが正しいようですね。
 オトコなら腰紐には断然、伊達締めをオススメします。

2016.1.20 bjiman
SIGMA DP1 Merrill



by bjiman | 2016-01-21 05:00 | 和装・着物生活・伝統的工芸品 | Comments(0)

ニューイヤーコンサートは亀甲の大島紬で ~男着物・3年目の着物道楽 その12~

「着物はいいけれども、出掛けていくところがない」
そんなお話をよく伺いますが、そんなことはないと思うんです。観劇やコンサート、食事、落語、美術館、気軽な散歩からもちろん文楽や歌舞伎など、、、何もお茶をやらなくても、着物を着ていく機会はたくさんあります。
ウィーンフィルのコンサートで有名なニューイヤーコンサートは、本場ウィーンの公演でもお正月ということもあって、着物を着た日本の方がよく見られることでも有名だと聞きます。
私はシュトラウスのワルツ・ポルカがとても好きなのですが、ニューイヤーは地元のオーケストラである「ニューフィルハーモニーオーケストラ千葉」のコンサートを楽しみに行っています。
今年も昨日、1月17日に千葉文化会館で開催されたニューイヤーを楽しんできました。
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TPO(タイム・プレイス・オケイジョン)は、VANの創始者である石津謙介氏の造語ですが、要するに時と場所を考えて、ということだと思います。洋服を着るには様々なルールがあって、代表的なものはタキシードは夜に着る服だけれども、昼は燕尾服だ、といった日本では一般化しなかったけれども洋装では基本的なルールを説明するために石津氏が考えたTPOという考え方は、もともと和装にも普通にあることで、街着の代表格である紬を結婚式に着ていくことはやっぱりルールに違反しているということになります。女性の場合は帯の組み合わせによっても変わりますが、男性の場合はずっとシンプルで、礼装が必要な場であれば羽二重の黒紋付、略礼装で良ければ色紋付でもいいけれど、ここは御召しを持っておけばOKということだと思います。観劇やコンサートなども、シーン(TPOでいうところのオケイジョン)によっては御召しの方がふさわしい場合もあると思いますが、私は今年の地元のニューイヤーは100亀甲の大島で行きました。

(千葉県のゆるキャラ、チーバくんと一緒に)
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 千葉のニューイヤーも、ニューイヤーであるが故に和服で来られる方もよく見かけます。
 また、地元の県民に愛されるオーケストラですのでお気軽に、ということを大切にした雰囲気づくりがされてもいます。私もあまりかしこまって御召しよりも、紬だけれども挌が高い私が持っているなかではいちばんいい100亀甲の大島で、「気軽なのだけれども敬意を払った」という形を表してみました。

 着物のTPOは、着物を着る方一人一人の、思いを形にした表現でもあると思います。

2016.1.18 bjiman
SIGMA DP1 Merrill

by bjiman | 2016-01-19 05:00 | 和装・着物生活・伝統的工芸品 | Comments(0)

着物を着る=たたむこと ~男着物・3年目の着物道楽 その11~

 着物を着るにはたたまないといけません。
 考えてみると当たり前のことなのですが、我々男性にとって、着物を「たたむ」ことは案外心理的なハードルが高いのではないでしょうか。
 私がはじめて大島を誂えた時、呉服店の女将さんは私のツマに、「たたむのは女ができないとね」というようなことをお話しされたのですが、今日、趣味の着物を着ようというオトコ達は、好きな着物くらい自分でたためないといけません。ただでさえ高価で趣味的なオトコ着物ライフを快適に送るには、ツマにやってもらおうなどと思わずに自分で覚えてしまいましょう。正確に正確に、というのでなければ着物をたたむことはそんなに堅苦しく考えなくても良いことだと思います。何より、着物をたためないと次の機会に着物が着られないのでちょっと練習していつでもどこでも着物がたためるようになれたらいいと思います。
事前準備として、着物を着た後は着物ハンガーに吊して少し影干ししておきます。

(1)さて、影干しの済んだ着物を広げます。私は畳に広げちゃいます。もちろん事前にホウキで埃は掃いておきますが。広げると色々シワがよっているのでせっせと伸ばしておきます。最初のところは難しいので専門のサイトの解説を見て下さい。私の写真は左右の襟と襟を合わせたところからです。
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(2)真ん中の線を中心に左右をエイヤッとたたむともうこんな風になります。シワはせっせと手で伸ばします。
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(3)袖を折り返します。
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(4)まっすぐになります。
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(5)裾を折り返します。
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(6)たとう紙という着物専門のつつみ紙に入れてしまいます。たとう紙は着物を買う時に付いてきますし、クリーニングから帰ってくる時にも新品に包まれてくるので適当なタイミングで入れ替えていきます。
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(7)つづいて羽織もたたんじゃいます。
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(8)長着(着物)と同じ要領です。
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(9)できあがり!
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 着物は季節毎に替わっていくので、春、袷の時期が終わったらクリーニングに出して、次の袷のシーズン(10月)に備えれば良いのではないかと思います。

2016.1.13 bjiman
SIGMA DP1 Merrill






by bjiman | 2016-01-13 05:13 | 和装・着物生活・伝統的工芸品 | Comments(0)

ウールの着物 帰宅したらゆっくりと ~男着物・3年目の着物道楽 その10~

 ここ何年か、自宅に帰るとツマの録画してくれた70年代の「太陽にほえろ!」とか水前寺清子さんの出演した「ありがとう」などの懐かしいテレビドラマを見る機会が多かったのですが、「太陽にほえろ!」の山さんこと露口茂さんや長さんこと下川辰平さんはドラマの中で自宅に帰ると品の良い紬のような着物に着替えていて、その姿に憧れのような気持ちを持っていました。水前寺清子さんの「ありがとう(第2シリーズ(看護婦編)」では、舞台となる十(つなし)病院の院長先生(伊志井寛さん→清水将夫さん)や長男役の児玉清さんも自宅で寛ぐ着物姿がよくお似合いでした。主役の水前寺さんが着物を着るシーンでは三男役の岡本信人さんが帯のお太鼓を作るところをサッと手伝って、「僕の方が美容院でやるより上手いよ」という場面があって、ほんの少し前まで女性の帯の着付けの心得があるような男性にも違和感がなかったんだな、ということが分かります。着物は、ずいぶん私たちの普段の生活から遠いものになってしまったんだなと思うと同時に、今、そんなことを取り組むことにも魅力を感じます。
 、、、といっても、自宅に帰ってから高価な正絹の紬ではリラックスもできないし、惜しげがあると使いこなせません。そんなとき、ウールの着物はとても重宝します。

〈私のウールの着物+羽織〉 SIGMA DP1 Merrill
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ウールの着物は70年代には正絹の代用品として多く活用されたようです。そのせいか、リサイクルショップなどではこうした時代に愛用されたのであろうウールの着物を見かける機会があります。私のこの着物も近くのリサイクルショップでたまたま見かけたものを羽織ってみたらサイズがぴったりだったのでエイヤッと買ってきたものです。着物が800円。近くにあった羽織は裄(袖の長さ)がちょっと短いのですが500円でしたからゼイタクは言えません。自分がイメージした自宅でくつろぐ着物としてピッタリのものでした。
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 遅く帰った時は浴衣+半纏になってしまうのですが、ちょっと早めに帰れた時はこの着物に着替えて、ゆっくりお気に入りの日本酒をいただくのがくつろぎの時間です。休日なども自宅ではこの着物になることも多く、近所への買い物とかお散歩とか、なんだかんだで私が持っている着物のうち、いちばん着ている機会が多いのがこの着物だと思います。

 〈戸定歴史公園内の茶室前で。帯は西陣を合わせました。ちょっと裾がキレイになっていないのですが、、、〉 SIGMA DP2 Merrill
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 こうしたリサイクルの着物を使う時は、きちんとした着物を扱うクリーニング屋さんでちゃんとしたクリーニングをすることが大事だと思います。この着物も、他の正絹の着物たちと一緒に呉服展の機会に専門の業者さんのクリーニングに出したところ、見違えるようになって戻ってきました。購入代金よりもクリーニング代の方が高かったですけど(笑)
 私は着物の所作は普段から着物を着る場数をこなさないと身につかないと感じています。クルマに乗るときにすっと裾を整えたり、食事の時の気の付け方とか、あと前にも書きましたが、お手洗いの行き方は、こうした惜しげのない着物で練習しておくことを絶対にオススメします。高価な着物を着ているときにいきなりお手洗いの本番、というのは避けた方がいいです。70年代のお父さんたちは、自宅で着物を着ていた方も多いと思うので、そういうことは自然に身についていたんだと思うんですよね。

2016.1.11 bjiman
SIGMA DP1Merrill
SIGMA DP2Merrill

by bjiman | 2016-01-12 05:00 | 和装・着物生活・伝統的工芸品 | Comments(0)

久留米絣・少女が織り出した木綿絣の魅力~男着物・3年目の着物道楽 その9~

 主に木綿糸で織られる絣織りのうち、備後絣、伊予絣、久留米絣を日本三大絣というそうです。そのうちの一つ、久留米絣は、江戸時代の久留米藩、現在の福岡県久留米市周辺で生産されている木綿絣です。

〈私の久留米絣〉 RICOH GRD2
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 久留米絣の歴史については専門のサイトでご覧いただければと思いますが、江戸時代中期の1788年に久留米藩下で生まれた井上伝という少女が12,3歳の頃、自分の着古した藍染めの着物についた斑紋を見て興味を持ち、糸を解きほぐして絣を織り出す事を思いついたというのがその始まりだそうです。天才少女の元には多くの弟子が集まり、15歳の時で20数人、40歳の頃には1,000人にも及んだといいます。
 そんな久留米絣は、国の重要無形文化財、経済産業大臣の伝統的工芸品に指定されており、今日でも伝統を受け継いだ木綿絣の着物を楽しむことができます。
 私の久留米絣は、藍染めによる伝統的工芸品ではありませんが、機械織りの縞で細かな絣が入ったえび茶色の落ち着いたものです。
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 とても着心地が柔らかく、木綿絣着物の魅力を手軽に味わうことができますし、少し費用を見ても良いという場合には手織りの伝統的工芸品も手が届く価格帯のものもあります。
 私の久留米絣は、福岡県八女市の坂田織物という会社のものです。久留米絣協同組合の証紙が入っています。
(上SIGMA DP1 Merrill、下GRD2)
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 作曲家の都倉俊一さんがある新聞のサイトで書いておられたことが印象に残りました。
 「21世紀の日本がどうやって生きていくのか、もう大量生産、大量消費の時代ではなく、物を作るにも日本人にしか作れない付加価値の高い物でなければならない。日本の伝統に裏打ちされた、他が真似できないもの。」そして氏は言うのです。
 「昔からどこかで聞いたことがある。もし今、周りに見当たらなかったら少し道を戻って捜したらすぐに見つかる。」
 こうした氏の掲げるキーワードは、まさに日本伝統の着物に当てはまるものだと私は思っています。
 昨日も書きましたが、私は、身の回りにある昔ながらのものは産業・人・生活のインフラが整っている(織り元がある、技術を持った職人がいる、製品を使ってきたユーザーがいて歴史もある)ので低コストで活性化ができるものだと私は思っています。久留米絣はまだまだ複数の織り元や、販売店があるようです。
 気軽だけど伝統のある、美しい着物、そんな久留米絣で落語を聴きに行ったり、ちょっとしたお出かけ、町歩きなどはいかがでしょうか?
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2016.1.10 bjiman
RICOH GRD2
SIGMA DP1 Merrill

by bjiman | 2016-01-10 07:55 | 和装・着物生活・伝統的工芸品 | Comments(0)

会津木綿・あいづっこの日常着~男着物・3年目の着物道楽 その8~

 着物生活を楽しむ上で、私は気兼ねなく着られる日常着として、木綿やウールの着物が欠かせないと思っています。私は、木綿では会津木綿と久留米絣、後はウールとシルクウールの着物を愛用しています。

〈私の会津木綿の着物〉 SIGMA DP1 Merrill
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 会津木綿は、会津地方で普段使いの日常着として使われてきた木綿の着物で、福島県の伝統的工芸品です。その由来などについては専門のサイトなどでご覧いただければと思いますが、天正年間に蒲生氏郷が産業振興のために綿花栽培を振興し、豊臣秀吉が取り立てた加藤嘉明が、寛永年間に以前治めていた伊予国から織技術師を招いて技術を広めたというのが会津木綿の起こりだとか。当時の伊予国の織物は後に伊予絣(いよかすり)に発展していきますが、当時は伊予縞(いよじま)と呼ばれる縞柄の時代でしたので、このような経緯から会津木綿の特徴のひとつに、伊予縞伝来の縞模様があります。私の会津木綿も縞柄です。
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 もうひとつの特徴は、会津木綿は木綿糸を使うのですが、結城紬と同じように手紡ぎの糸であるために節(ふし)があることです。節のある織物はふっくらと立体感があり、着物に素朴な暖かみのある味わいを感じさせます。
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 この会津木綿に合わせるなら、何と言っても会津桐の下駄です。
〈私とツマの会津桐の下駄〉
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 「ならぬことはならぬものです。」(什の掟)で有名な会津では、今でもあいづっこ宣言でこの精神を大切にしているとのこと。観光都市としての会津若松市は、震災の際の風評被害で大きな打撃を受けました。
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 会津人は昔から誇り高く、会津人であることを大切にしているといいます。また、会津は、私の愛用するカメラたち、SIGMAのカメラが生産されている工場のある町です。すべてのSIGMAカメラ・レンズは、「MADE in AIZU」であることをSIGMAも誇りにしています。そういう意味でも、SIGMAカメラを愛用する私には会津は特別な町に感じます。
 中でも大正ロマン漂うという七日町通りは風格ある老舗のお店が並ぶ素敵な街並みが魅力です。

〈会津漆器のお店 鈴木屋利兵衛〉 SIGMA SD1 Merrill/SIGMA 10-20mmF4-5.6

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〈「会津中将」醸造元・永寶屋/鶴乃江酒造は、寛政6年(1794年)創業〉

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 こうした観光の町が活性化すれば地域の産業も活性化するでしょう。会津木綿は、反物で7千円程度で買えるのでリーズナブルに着物を楽しめますし、下駄と合わせて購入すれば会津の活性化支援にもなります。新産業の創出もいいですが、身の回りにある昔ながらのものは産業・人・生活のインフラが整っている(織り元がある、技術を持った職人がいる、製品を使ってきたユーザーがいて歴史もある)ので低コストで活性化ができるものだと私は思っています。ヒットのヒントがどこに眠っているかなんて容易に想像できるものではありません。私が愛用する真空管アンプのトライオードだって、かつてのオーディオ衰退期を考えればとても21世紀の今日にヒットするなんて経済評論家に指摘できる人はいなかったでしょう。和服だって何が起こるか分かりません。
 私はこの会津木綿の着物は羽織を羽織らない着流しで気軽な町歩きやちょいと近場に飲みに行くときなどに使いたいと思っています。着物は何も高級な正絹の着物だけではありませんし、それにそうした着物を着るときの所作は、やっぱり普段着物を着る場数によってしか身につかないと感じています。普段の食事やそれにお手洗いに行くときの仕方、、、高価な着物でいきなり不安な本番を迎えることのないよう(私は経験があります)、普段からこうしたお気軽な着物生活を重ねて色々な経験を積んでおくことが、着物生活を有意義に楽しめるコツではないかと思います。

2016.1.9 bjiman
SIGMA DP1 Merrill
SIGMA SD1 Merrill
SIGMA 10-20mmF4-5.6EX

by bjiman | 2016-01-09 14:48 | 和装・着物生活・伝統的工芸品 | Comments(2)