2017年 03月 04日 ( 1 )

ニッサン・スカイラインについて(ジャーナリズムに意見しておきたいこと)⑤

ちょっと旧聞になりますが、ある女子アナウンサーが、自分のプライベートな事柄について報道をされたとき、「何を言っても信じてもらえない」と話していた姿が印象に残りました。私は彼女に同情している訳でも、事情を知っている訳でもないのですが、どう説明しても説明のとおりには報道してもらえず、勘ぐられたことばかり書かれるということがいかに辛いことか、私はクルマジャーナリストの方に言いたいんです。

「設計者に、聞かずに書く」
「決めつける」

ということが、どれほど問題なのか。
スカイラインV35に対して、あるクルマジャーナリストが書いていた言葉

「これまでスカイラインというクルマが作り続けてきた思いや伝統を微塵も感じさせない」
「このでぶなクルマに、スカイラインと名づけることに反対意見はなかったのだろうか。」
「いや、あったに違いない、ゴーン勢力に押し切られてしまったのだろう。」

これに対して、私がこうして強く意見しているのは、当たり前ですが、ジャーナリスト個人に言っているのではありません。
設計者に聞かずに決めつけ、客観性を欠いた議論をすることが、いかに事実を歪曲させてしまうのかということに強い問題意識を持っているからです。
スカイラインV35がデブだという。
ではV35スカイラインがデブなのか、検証してみましょう。
国内の同クラスということで、トヨタのマークⅡ、欧州車では、BMWの3シリーズ、5シリーズと経年で比較してみます。
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この表を見ていただければ一目瞭然であるとおり、スカイラインV35は、ライバルと比べても、歴年のモデルと比べても、決してデブなどではありません。
1980年代、国産車は国内規格の5ナンバー(全長4.7m×全幅1.7m以下)の規制(3ナンバーになると税金が高くなる)の影響で、欧州車等のライバルから保護されつつ、その影響で、スタイルが細長いものになっていました。自動車ジャーナリストからは、「異形だ」「スタイルのバランスが悪い」とさんざん揶揄されていたんです。
それが90年代の税制改正で開放されてからは、段々修正されてきています。特に、この表で見ると分かるとおり、トヨタ・マークⅡは、3ナンバーになったX90型のサイズが、同時代のBMW5シリーズとほぼ同サイズになっていることが分かると思います。こうやって、国産車は世界の水準に並んできたんです。(そしてその後、また5シリーズが更に大きくなったのに、マークⅡはついていかなった。そして、国内専用のマークXという風にコンセプトを練り直すことになるのですが。)
マークⅡのX90型から比べれば、2001年登場のスカイラインV35型の横幅が、1993年当時のマークⅡX90型と同じ1,750mmという設定は、少しもデブなどではなく、むしろライバルから見たら、これでもまだ細長いんです。この時代、既にスカイラインよりも一回り小さいBMW3シリーズ(E90型)の横幅は、1815mmになっているんですよ。横幅が大きくなることは、道幅の狭い我が国の中においては、使い勝手に劣ってくることは確かですが、車内のゆとりが確保でき、側突の安全性を高めることにもなります。なぜ、ライバルと比べてスリムなスカイラインV35型が、これでもデブデブだと言われなければならないのでしょうか。おかしいでしょう。

SIGMA sd Quattro+SIGMA 150-600mmF5-6.3DC OS HSM
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なぜBMWと比較するかと言えば、スカイラインが好きな方なら皆さんご存じのように、特にハコスカ以降のスカイラインが、BMWから、特にマルニ(ノイエ・クラッセ)以降のモデルに強く影響されていることは明らかで、フロント:マクファーソンストラット、リア:セミトレIRSの足回り、直列4気筒ないし6気筒+FRのスポーツセダンというコンセプト、スカイラインの1800ccグレードに用いられたTI(ツーリングインターナショナルと呼んでいた)というグレード名、、、これはマルニ時代のBMWの2002ti をイメージしていると思います。ついでに書くと、ツーリングインターナショナルという訳は、BMWよりも前に「TI」というグレードを用いた本家・アルファロメオのジュリアTI(国際ツーリングカーレース・「Turismo Internazionale」の略)をそのまま使っているのです。この辺りは桜井眞一郎さんを中心とするプリンス自動車時代からのスカイライン開発チームの好みなんだろうと思います。R30の時代には5ドアハッチバックのGTやディーゼルのGTだって出していますから、桜井さんはこうした欧州スタイルのスポーツセダンをスカイラインの中に翻訳していったんだろうと思います。TIの呼称はアルファが先達でも、ジュリアのサスはフロント:ダブルウイッシュボーンのより古典的かつ高級なものなので、ハコスカ以降のスカイラインが実際に参考にしていたのはBMWの方(マクファーソンストラット+セミトレ)だと思います。


そして、マルニ以降のBMWがコンパクトな3シリーズと、中型の5シリーズに分化していくのを横に見ながら、スカイラインは、上のサイズ表にあるとおり、「3と5の中間」のサイズに納めていくようになります。それは、スカイラインのポジションは、下にクラスが近似する看板車種のブルーバードがあったからでしょう。ブルーバードだってサニーじゃないんですから、サイズ的にはDセグメントとCの間くらいにはあるからです。
私の本音を言えば、910のようなFRのブルーバードがもし理想的に発展したなら、レクサスのISや、BMWの3に相当するものになって、スカイラインは、5のサイズでもとやかく言われることはなかったと思います。現行型のスカイラインV37型のサイズをBMWの3と5の間に挟んでみると、それが良く分かると思います。今でもこうしてスカイラインは、BMWの3と5の間にキレイに収まっています。
こういう数字のファクトを揚げて説明せずに、「デブだデブだ」と批判することは、単に適切ではないだけではなく、国際的な競争力を削ぐという点で問題なのです。
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私は、V35のV6になってからスカイラインが欲しいと思うようになりました。これは初めてのことだったんです。
しばらくそんな思いが頭に残って、V36型にスイッチされたときにはディーラーに行ってカタログをもらってきたくらいです。(まだ持っています。下にあるのは当時一緒に検討していたブルーバードシルフィのカタログ)

SIGMA DP1 Merrill
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、、、ということで、次回は、スカイラインが直6からV6に変わった辺りの自分なりの意見を書いてみたいと思います。

by bjiman | 2017-03-04 03:54 | CAR | Comments(0)