日産・スカイラインについて(補足:2017年上半期の販売結果を受けて)

日産が今日発表したところによると、米国でのインフィニティブランドの上半期の販売実績は、前年同期22%増だったそうですが、中でも主力のQ50(日本名・スカイライン)の販売実績は、1万9603台で、クーペの「Q60」(写真の2Dr)が、5938台、ついでに、SUVバージョンの「QX50」(日本名・スカイラインクロスオーバー)が、7955台だったそうなので、スカイラインのラインナップで、米国だけで、この半年に約3.4万台が売れたということになります。このまま推移すれば年間7万台近いスケールだということです。

米国にスカイラインが輸出されたのは、2001年発売のV35型からですが、北米では早速2003年のモータートレンド・カーオブザイヤーに選定。続く日本ではV36と呼ばれた2代目も好評で、コンシューマー・レポートの2007-2008年の高級セダンカテゴリの1位に選出、2008年にはオートモビルマガジンのオールスターに選出等の評価を得てブランド価値を高めてきたのです。
(日産・スカイラインV36型)
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この記事を読んでから、下の朝日新聞の記事(既にtwitterで指摘しましたが)を読んで欲しいんです。

私は、この記事の何に対して批判しているかというと、そのタイトルの付け方と世界観の狭さです。「販売は最盛期の40分の1」
というタイトルを読めば誰しも「あぁスカイラインってもう駄目なんだ」と思うでしょう。そういう印象を持つということは文章のプロである記者は分かるはずです。

私がしつこいくらいにこの手のジャーナリズムを批判するのは、それが私たちのためにならないと思うからです。
スカイラインは、確かに日本では販売が低下したでしょう。かつてと比べれば。でも日産は、スカイラインのRシリーズの展開の中でギリギリまで追い込まれ、局面の打開を図る為にV35シリーズで、国内専用とも言えるモデル展開を転換して、グローバルに展開できるインフィニティのブランドで展開していくと決めたのです。そしてそれはある程度成功しました。だからこそセダンが売れない日本で今もスカイラインが買えるのです。

(スカイラインがグローバルモデルとして、輸出で活路を見いだそうとした時のV35の兄弟モデル・ステージアM35。日本では理解されずに後継車が作られなかったけど、後輪駆動車でリッチな、いかにも欧米的なワゴン。こういうのがヨーロッパスタイル。)
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日本では近年は、R32のGT-Rこそスカイラインというイメージがあるかもしれませんが、Rシリーズのスカイライン時代、スカイラインは販売低下傾向が続きました。R32の成功で少し歯止めが掛かったものの、R33で再び低下。大型化すると低調になるという分析から、再び小型化したR34の頃は、セダン不振の傾向に連動して非常に販売不振になってしまいました。Rシリーズ最後のR34は、98年から生産中止までの3年間ちょっとでの生産台数は6.4万台です。今、v37型スカイラインは、米国では、2017年上半期の6ヶ月だけで3.4万台売れていることを考えてください。米国だけで、ですよ。もちろんインフィニティブランドは世界中で展開されているのです。
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この朝日新聞の記事には、日産の国内販売のことしか書いておらず、世界で活躍するスカイラインについては一言も触れていません。
書いてあることは、「若い世代に支持されたスカイラインも、昨年の販売は約4千台と最盛期の40分の1。2015年度の日本自動車工業会の調査では、車を持たない若い世代の7割が「車に関心がない」と答えた。」ということのみです。
しかし、ケンメリの当時の若者をターゲットにしたスカイラインと、今のインフィニティブランドのスカイライン(Q50)は、狙われているユーザー層が明確に違います。当然、インフィニティの中心=高級車という風に明確にシフトしているのです。それなのに、この記事では、「若い世代に支持されたスカイラインも、昨年の販売は約4千台と最盛期の40分の1」という風にしか捉えていない。スカイラインの今を見つめていないからです。
私が実際にデータを使って批判した以下記事も、そんな非常に狭い視点でしか書かれていません。これでは今日の米国でのスカイラインの好調を理解することはできないでしょう。

朝日新聞の記事には、車を持たない若い世代の7割が「車に関心がない」と答えた。」ということのみですが、本当に、クルマに関心がないのでしょうか。

昨日、Twitterでも書いたように、昨日のニュースで、自動車の国内販売はこの上半期、5年降りの好調で、各メーカーとも販売台数を伸ばしています。クルマは、景気動向によっても左右されますし、魅力的なクルマが出れば売れるのです。
トヨタのハイブリッドの代表格、プリウスが売れなくなると、すぐに自動車メディアは、「ハイブリッド販売不調か」とか「もはやエコではない」とする論調が溢れますが、時代を捉えた魅力的な製品が出来れば、ちゃんと販売は伸びてくれます。プリウスは、PHVが好調で、5月の月間販売台数がトップに返り咲きました。
こうやって、世界の流れを捉えながら真っ直ぐにやっていき、結果を出していくしかないのだと思います。

日産にも、トヨタにも、そして我がレクサスにも、そして日本の技術であるハイブリッドにも頑張って欲しい。現場で一生懸命努力しているのは、私たちの同じ国の、サラリーマン達じゃないですか。ちゃんと努力を評価してもらいたいものです。

by bjiman | 2017-07-05 02:39 | CAR | Comments(4)
Commented by 腹一杯 at 2017-07-06 21:58 x
スカイライン、5ナンバーが好きでした。朝日新聞ですね。私はクオリティペーパーだと高校生の時聞き、憧れておりました。ただ30、いえ、40を超えたあたりから、どうもこれは違うと思い始めまして、どなたがおっしゃったかわかりませんが、日本を駄目にする方向で戦前も戦後も書いている。とのことでした。それ以来残念ですが、アンチ日本という線で考えると腑に落ちる、ということになっております。私の勘違いであってほしいですが。
Commented by bjiman at 2017-07-07 00:52
腹一杯さんこんばんは。クルマに関しては残念ながら日経も産経も読売もおかしな記事を書くことがあります。最近で一番呆れたのは、日経では、ボクシーとノアというトヨタの最も売れ線のワンボックスファミリーカーにHVが設定されて爆発的に売れた月に、「プリウスの販売が落ちたことだけ」を取り上げて、「プリウス、販売40%減」と書いたこと。見れば分かるんですが、プリウスの減少分は、ノアとボクシーが持って行ってるんですよ。もちろんHV人気です。産経では、水素自動車のトヨタ・MIRAIの発表の頃、特集記事を組んで、まず最初に、EV自動車の雄・米国テスラモーターのCEOに「水素自動車なんて馬鹿げてる」と言わせてそれを載せたこと。これなんて、アップルのスティーブジョブスに「ウインドウズの今度のバージョン最高じゃないか?」と聞いているようなものです。ジョブズが、「そうだね、ウインドウズ最高だね。ビルゲイツはすげぇ奴だよ」って言うわけないでしょう。読売で呆れたのは、マツダとイタリアのフィアットがマツダのロードスターを使ってフィアット版(当時はアルファ版と言われていた)を出す協定を結んだことを持ち出して、「マツダ、ヨーロッパのブランド頼み」とやらかしたことです。スポーツカー販売のギネス記録を持っているマツダロードスターが何でアルファのブランド力に頼らなくちゃいけないんですか。どう平たく見ても、シャシーの台数が捌ければコスト負担が楽になるマツダと、小型FRシャシーを新たに起こす負担が厳しかった当時のフィアットが最もヨーロッパでも知られているマツダのFRを欲しかっただけでしょう。ごく普通のウインウインの提携です。最近はSNSでめちゃくちゃ書かれるから私も安心してますけど、こういう記事を平気で書くのがジャーナリズムなんです。
Commented by bjiman at 2017-07-07 00:56
スカイラインに関して言えば、今、日本で50年以上続いているブランドは、カローラ、クラウン、そしてスカイラインの3つだけです。それだけ多くの日本人に愛されてきた、いわば心の琴線に響くクルマだと思います。この中で、クラウンとカローラは今でも自販連の発表する国内販売ベスト30に入っていますが、スカイラインはそうではありません。それは、クラウンとカローラは、国内販売をキープするために専用のシャシーを起こし、クラウンは横幅1.8m以内に、カローラは国産車でも最早わずかしかない5ナンバーに抑えているからです。カローラは米国版とシャシーを分けており米国では月間販売が1位になることすらある超人気車種ですがこれをそのまま日本に持ってきてもまず売れないでしょう。なぜなら、私のレクサスHSとほとんど同じ大きさですから。これはシビックが米国で超人気でありながら日本では販売中止に追い込まれたのと同じ理由です。最近ではレガシィが米国での量販の要請からサイズを上げたのでスバルはわざわざ日本専用のレヴォーグを作っているのです。全長は5ナンバーの4.7mにしてあり、かつてのレガシィツーリグワゴンと違和感のないようにしています。スカイラインは、日本ではR32のようなイメージにしておかなければスカイラインらしいと言ってもらえず、かといって言ってもらってもシャシーの短い2drセダンは量販しないので採算が取れないからある意味開き直って、今までのスカイラインの事はあえて考えずグローバル仕様にしたということなんです。これは日産自身がはっきりいろんな方が説明していますから、もういい加減新聞はちゃんと書いて欲しいと思っています。インフィニティになったことも、そもそものプリンス自動車の歴史を考えればあながち不適切とは言えません。グローバルに育ったスカイラインは世界で好調に売れている、とうとうそういうニュースもこうやって出たので、この機会に書かせてもらいました。でも、私は腹一杯さんのおっしゃるように、5ナンバーのスカイラインが好きだった、という気持ちはよく分かります。今のクルマは何にせよ概して大きくなりすぎだということはあると思っています。でもそのことと、スカイライン、販売は40分の1とか書いて揶揄することは全く別のことで、私はそのことに強く抗議する、そういうことなんです。長くなってすみません。
Commented by bjiman at 2017-07-07 01:28
一時、科学者の人材流出が問題になったことがありますよね。世界標準についていかず、新しい人材の積極的なトライを評価できない環境を作ってしまうと当然優れた人材は活躍の場を求めて流出してしまいます。最近ではスポーツ界でそういう話を見聞きするし、自動車でもそういう現象が起きてきたということかなと思っています。ホンダシビックや、スバルレガシィのような優れたクルマは世界標準に合わせて輸出主体にしても十分やっていけます。トヨタのランクルは世界中で愛されています。マツダ・ロードスターのように、最初からヨーロッパの文法で考えられたクルマには、ヨーロッパの方から提携の話が来ます。一緒にやらないかってことですよね。こういうのは最近のサッカー選手の移籍にも似ています。そういう環境の変化に対応していかないと、日本の国内だけでしか通用しない価値観が出来てしまい、それはそれで「ガラパゴス化」だと揶揄されるのだから溜まったものじゃないですよね。経営者は世界中のビジネス環境で闘って肌でそれを感じるので対応していこうとして必死なのだと思います。トヨタからレクサスに移行するユーザー層の一定数は、私はそういう考え方の変化をポジティブに捉える層の方だと思います。国内市場のある種の狭いカテゴリーは、クラウンにせよカローラにせよ注目度が高い割に販売先が限られてしまうからです。 クラウンもカローラも長く愛用されてユーザーがいるので市場に製品を供給する必要はありますが、例えばマークXにせよ、プレミオ(かつてのコロナ)にせよ、モデルチェンジ期間を長く、同じシャシーを改良しながら使ってコストを抑えているのはそういう理由だと思います。
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