ニッサン・スカイラインについて(ジャーナリズムに意見しておきたいこと)④

1966年、プリンス自動車が日産自動車に吸収されるような形で合併したことは、スカイラインのその後のブランド形成に少なくない影響があったと思います。
なんとなれば、当時の日産自動車のエースといえば、ダットサン・ブルーバード。誰もが知るこの国産黎明期からのセダンは、合併よりも前の1965年には、ブルーバードの「記号」とも言える「SSS」グレードを出していました。SSS=SuperSportsSedan、このコンセプトは、少なからずスカイラインと被るところがあります。まして、SSSは1600cc、スカイラインは1500ccだったのですから。クラスも性格も、すっかり被ってしまっています。

ダットサンブルーバード410SSS  (SIGMA DP1 Merrill)
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栄光の「SSS」エンブレム。思えばニッサンには、継承すべきレジェンドがたくさんあったんだと思うんです。この410は、尻下がりのスタイルが受け入れられず、ライバルのコロナにリードを許したクルマですが、ピニンファリーナデザインのスタイルは、今見てもちょっとアルファ的な、キラリと光るところがあります。
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そして日産では、プリンス自動車を合併した後の1967年、満を持してというか、ブルーバードの決定版となる510型を出すわけです。
510型は、ピニンファリーナのイタリアンスタイルから、社内デザイナーのデザインという直線基調の「スーパーソニックライン」を備え、今見てもBMW的な実に端正なスタイル。「スポーツセダン」の雰囲気を纏っています。

ブルーバード510型(67年~)
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このクルマは、1600ccエンジンを持つスポーツセダンで、サスペンションは前ストラット、後トレーリングアームによる独立式という贅沢な4輪独立式サスペンションを持ち、それは同時代のハコスカと形式的には類似のものでした。性格的にも、SSS=Super Sports Sedan の呼称はスカイラインの性格とも類似します。ブルーバードはブルーバードで、次代の610シリーズ時代に、ホイールベースを延長して2000ccエンジンを突っ込むというまるでスカイラインと同じ手法で「2000GTシリーズ」を出すことになります。これでは身内に後ろから蹴飛ばされたようなもので、どっちの2000GTがいいんだとなるでしょう。

(510ブルの精悍なフロントフェイスに、1800ccのSSSエンブレムが輝いていました。)
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また、ニッサンは、プリンスとの合併が決まる前から、ブルーバードの上級者にあたる「ローレル」を開発していました。ローレルは、当時では販売上大きなウェイトがあった商用バン(4ナンバー車)を作らずに、オーナーカーに徹するというハイオーナーカーの嚆矢として開発されていましたが、途中でクラスやキャラクターが被るスカイラインとの関係が考慮され、プリンス自動車の村山工場で生産し、シャシーはエンジンはスカイラインと共用するということになったんです。でもこれは、スカイラインにとっては単に似たようなクルマが乱立するだけで、いいことだったとは言えないと思います。
例えば、この初代ローレル2drHT。あのハコスカ・GC10型とシャシーが共通のクルマですが、性格的にスカイラインと使い分けるほどのキャラクターの違いがある訳でもありません。

初代ローレル2000GX
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しかも、開発エンジニアも桜井眞一郎さんが行うことになり、基本的に共同開発ということになりましたから、どうしたって性格的に似てくる。あえて言えば、この後のシリーズも含めて、ややエレガント方向に振っているということになり、個人的には、C31型など同年代のスカイラインよりは私は好きな車が多いのですが、スカイライン=スポーティ、ローレル=エレガント、という風に振り分けるほどにはキャラクターの違いが徹底された訳ではなく、かといって、スカイラインはやっぱり走りということで普通のセダンならローレルがあるからとスパルタンな方向に振るしかなくなるという袋小路になっていったように思うんです。
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つまり、こうした同クラスのいずれも「スポーティ」な2000ccクラスのFRセダンに囲まれて、スカイラインは、最初の「高級できれいな4ドアセダン」というプリンス・スカイラインの原点を失っていったんではないのか、そう思ったんです。だって、プリンス・スカイラインがスカイライン伝説を作ったとき、スカイラインがなんて呼ばれたか。有名なニックネームがありますよね。それは、「羊の皮を被った狼」。
普通の4ドアセダンでありながら、強力なエンジンを積むスポーティなセダン。高級な。それがスカイラインのそもそものキャラクターなんだと思うんです。
実際、設計者の桜井眞一郎さんは、スカイラインの40周年の際、自身が代表を務めたオーテックジャパンから、R32の4ドアGT-Rを出していることからも、スカイラインの原点は4ドアセダンだとお考えになっていることが伺えます。

初代プリンス・スカイライン「GT」(S54GT-A)
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スカイラインは、プリンス時代、瀟洒な4ドアセダンで、高級車だった訳です。決して体育会系の2ドアの、狭い2drクーペだった訳ではありません。
スカイラインの伝説に思いをはせると、実は、「インフィニティになったスカイライン」は、原点に、あるべき場所に戻ったのではないでしょうか。
(次回に続きます。)


by bjiman | 2017-03-01 05:00 | CAR | Comments(0)
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