トヨタ カローラ50周年に思うこと(自動車ジャーナリズムに対する意見)

トヨタ・カローラが発売50周年を迎えました。
カローラについては、トヨタ カローラ・アクシオ ~諦めないということ~ の記事でも書いたように素晴らしい、日本の自動車史を代表するクルマだと思っています。

〔現行型 カローラ・フィールダー〕SIGMA DP1 Merrill
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しかし、相変わらず自動車ジャーナリズムはユーザー目線のない単眼的な視点が目立ちます。
昨日の新聞記事にも、著名な自動車評論家氏が、カローラの偉大さという点で、以下のように分析していました。
「カローラの人気の秘訣は、5ナンバーを守っていることだ」
 これは一面では合っていますが、一面では合っていません。カローラがプリウスに販売の主役を譲ってからもう長い時間がたちます。今の主流はプリウスで、プリウスの横幅は、2代目から5ナンバーを超えていて、2代目(1725mm)、3代目(1745mm)、4代目の現行型(1760mm)というように、代を追うごとに拡幅しています。
 これは、プリウスが世界的に販売するグローバル商品であるからですが、世界の標準(例えば世界のこのクラスのベストセラー、VWゴルフの横幅は1800mm)からすればこれでもコンパクトなくらいで、当然ながら日本での使用を考慮に入れているからでしょうし、販売結果に見られるように、日本でも受け入れられています。1695mm(1700mm以下)という規格は、戦後、自動車産業を育成するための保護貿易的な観点から日本独自に定めたものなので、これだけにこだわっていると、欧米の主流から見れば縦長のクルマになってしまい、そうなればなったで「ガラパゴス化」と批判するのが自動車ジャーナリズムです。

〔現行型プリウスと私のHS〕
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続いてこの評論家氏は、「自宅の車庫だけではなく、一般の駐車場などで、クルマの大型化に伴って駐車枠が拡大されることはほとんどないはずだ」と指摘しています。
しかしそうでしょうか。昔、私がゴルフに乗っていた18年ほど前、松戸駅の駐車場は5ナンバー車専用でした。しかし今、5ナンバー車専用なんていう駐車場をほとんど見かけません。
試しに図書館に本を返しに行った時に図書館周辺の貸し駐車場やレストランの駐車場を見てみました。古くからある駐車場は機器の入れ替えなどもあったのでしょう、駐車枠を拡大するラインの引き直しをしたものが多く見られました。私が自動車ジャーナリズムにしばしば意見するのは、こうした「事実ではないこと」、建設的ではない議論を平気で行うことにあります。
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確かにクルマの大型化に伴って、隣との間隔が厳しい駐車場もあるでしょう。でも最近の施設は、下の写真のように、大型車に対応できるよう駐車枠を単なる線ではなくて楕円で囲ってドアをあけられるスペースを取っているところが多くなっていると思います。

〔横幅1800mmに抑えているクラウンは、日本独自の縦長のサイズ。最近の新しい駐車場ならバッチリ。〕
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さらに、この評論家氏は、「5ナンバー車は、国内で最も現実的な車体寸法なのに、各メーカーがそこを見誤り、3ナンバー車の品ぞろえを優先した結果、クルマ離れが起きた」と指摘しています。
しかしそうでしょうか。各メーカーが3ナンバー車になったのは、世界の流れに合わせると、1700mmの横幅では安全性や室内の居住性が相対的に不足(狭くなる)することから、世界の他社から見た場合の競争力が落ちることになるからです。例えば、レクサスのコンパクトカー・CTは全長4350mmに対し横幅は1765mmもあって、これがグローバルサイズのコンパクトカー(Cセグメントカー)というものです。写真隣のレクサス・ISも横幅は1810mmで、クラウンよりも大きいのですが、これもライバルのメルセデスCクラス(1810mm)を考えれば同じなんですから全く問題のない設定です。Cクラスは日本でも大人気ですよね。そして、横幅が1800mmもあるVWゴルフにカーオブザイヤーを出し、メルセデスのCクラスなら賞賛する一方で、日本のメーカーに対しては横幅1695mmの5ナンバーサイズが合理的だ、なんて書くのが日本の自動車ジャーナリズムです。これではメーカーがかわいそうです。
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むしろトヨタが心がけているのは、国内専用のクルマは、敢えてちょっと小さく作るということだと思います。
セダン後退後の人気車といえば、世界的にはハリアーのようなRV車です。レクサスのRXはもともとはハリアーでしたが、モデルチェンジによってサイズアップしたため、国内用のハリアーとしては少し小さく作りたい。現行型のハリアーはそんなニーズに合わせて作られていて、わざわざRAV4のシャシーを使って国内専用ハリアーを仕立てたのです。ハリアーの横幅は1835mmもありますが、国内販売ランクは5月で26位。この種のクルマとしては十分に人気車です。だいたい大型化がクルマ離れを招いたというのなら、なぜ大型ワンボックス車のアルファードやRV車のマツダCX-5とかが若者の人気車になるんですか?若者の車離れは、そんなことが理由ではないと思います。
自動車の性能が良くなり、昔のように6年くらいで乗り換えるということも少なくなり、今は10年以上乗ることも普通になりました。私が昔愛読していた本には「クルマを10年10万キロ持たせる本」なんていうのもあって、それはそれなりに難しいことだったからでしょう。今はそんな苦労が少なくなったのではないでしょうか。私はHSの前のシトロエンには14年乗りましたが、本当に最後までトラブルらしいトラブルがほとんどありませんでした。少子高齢化で人口が高齢化しています。このこともクルマの買い換えの頻度を下げるでしょう。今の若い人はあまりクルマでドライブデートをしなくなりました。大型化したからですか?そうではないでしょう。小型のクーペ、例えばセリカとかシルビアとかそういう車種の人気がなくなってしまいました。私たちの頃はプレリュードなんて若者には大人気だったのに。それは文化が変わったからでしょう。3ナンバーサイズとかそういうことじゃないと思います。

〔レクサスRXとトヨタハリアー〕
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さらにいうなら、最近では、スバルがレガシィのモデルチェンジに際し、米国からの大型化のニーズに応えると国内市場とのギャップが大きくなるからと、専用にレボーグを仕立てたのは記憶にあたらしいと思います。レボーグは、カローラクラスのインプレッサがベースですが、横幅は1780mmあります。レボーグが配慮した(と思われる)のは全長を、かつての5ナンバー車の4.7m以下に抑えたことでしょう。

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私が自動車評論家氏、ジャーナリズムに言いたいことは、もっと建設的な評価を、もっと事実に即した評価をすべきだということです。
世界に合わせてばかりいたのでは国内で使いにくくなるのは事実ですが、一方、日本だけを見ていては世界の流れについて行けず、相対的な製品の競争力が低下します。
それは、私たちのような労働者のためにもなりません。
自動車ジャーナリズムに対しては、もっと客観性を、もっと公平性をと願わずにはいられません。

by bjiman | 2016-06-29 07:00 | CAR | Comments(0)
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