トヨタ・クラウン60周年記念展に思う~クルマジャーナリズムは、複眼的視点を持つべき~さらばクルマジャーナリズム⑧

先日、曽野綾子さんが新聞に書かれていたコラムの一節が印象に残りました。

「何よりも貧しくなったのは、大人のくせに、ものごとの結果を最低二面以上の相反する複雑な視点から見る勇気も能力も衰え、教育もその訓練をしないことである。」

私がこのクラウンを通じてクルマジャーナリズムに対して感じていることもこういったことです。
特にクラウンを巡る評論には、クラウンが長く国内ユーザーによって育てられてきた日本の高級車であるが故に、欧州車的な視点から見た批判がなされてきたように思いますが、今まで書いてきたように、このような議論の多くがユーザーを見ない単眼的な視点であることに大きな問題があると思っていました。それは長く日本では、ジャーナリストや評論家のような方の側には、自分たち専門家がユーザーを指導しなければならないといった視線があり、また、ジャーナリズムを受け止めるユーザーの方にもそれを表だって批判する事を控えてきていたという経過があるのではないかと思います。

かつての自動車ジャーナリズムは今よりもずっと客観的であれ、公平であれという視点が多かったように思いますが、最近は非常に単眼的な視点が目立ちます。特に最近のもので目に付くのは「個人的な感想文」になっているものが多く見られることです。「こんな風に思うんだけどなぁ」といった感想は、どんなユーザーでもそれぞれが持つことで、商品として流通するジャーナリズムの言論のレベルではないと思います。

例えば先日、私のレクサスHSの2年点検でディーラーを訪れた際、手に取った自動車専門誌の「レクサス・RC 350 ’F SPORT’」の長期テスト車 の記事にはこんなことが書いてありました。
「クーペには上品でエレガントな佇まいが欲しいがRCの大きく開いたフロントグリルは上品とはいえない」
「こんな顔がリアビューいっぱいに映ったら自分ならあまり良い気がしない」
「だから高速道路では車間距離を開けている」
「どこか刺々しく、威圧的な顔は苦手」、、、

私はもう呆れて物が言えませんでした。これが自動車専門誌のコメントなのでしょうか。
確かにRCは派手な顔をしています。まして、このテスト車はスポーティバージョンのF SPORTの方なのですから当たり前でしょう。

クルマのスタイル、’様式’とでも言った方がいいと思いますが、クーペには走りに重きをおいた「スポーティ」なものもあれば、エレガントさに重きを置いた「スポーティ」なものもあります。こんなことは基本中の基本でしょう。例えば服で、ラグビーで選手が来ているジャージはもちろんスポーティですが、監督が来ているブレザージャケットにスクールカラーのネクタイという出で立ちもスポーティです。クーペのスタイルの違いも同じ事です。RCの、しかもF SPORTは、筋肉系のハードな系統のデザイン(スタイル)を取っています。派手なのは当たり前だと思うべきです。

〈LEXUS RC300h F SPORT〉 SIGMA DP1 Merrill
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むしろ日本車としては非常に抑揚のあるダイナミックないいデザインだと思います。
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これが刺々しいだの、威圧的だのいうのであれば、メルセデスのAMGにも同じ事を言うのですか?。メルセデスには言わないのでしょう。私だったらバックミラーにこれが映る方がよほど威圧的だと思いますね。でもメルセデスのスポーツは、アウトバーンの雄の一つとして、こうした時に暴力的とも言えるパワーを誇るクルマ作りやデザインをすることが社会的に認知されているし、私もそれに異議を唱えるつもりは毛頭ありません。(ただし好きではありません。)

(レクサス・RCのスポーティな内装。基本はISベースですが、クーペらしい雰囲気が演出されていると思います。)
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アウディのショーモデルにも見られるように、最近の欧州車にはこうした派手なフロントフェイスを持つものが増えています。世界で戦っていくレクサスを見る時は、こういったものと比較してどうなのかということを書かなければ不公平、単なるいいがかりです。むしろ、欧州車のこうした派手なものと比べれば、レクサスRCはむしろちょっとおとなしめで、そこがまた日本的な良さだと私は思います。

この自動車専門誌のRC試乗記では、「目標台数(年間1500台)が少ない。寂しい。」などと批判して呆れさせられます。もはや世界的にクーペの市場がシュリンクしている中で500万円~600万円オーバーのこんな趣味的なクルマを出すことの大変さを専門誌なら分かって解説すべきです。こういうのは批判のための批判に過ぎない、潰すつもり?と言いたくなります。
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ベースとなっているレクサス・IS自体が、既にファミリーカーとしては台数の出ないDセグメントのFR車で、ISをスポーツ仕立てにした、ISのF SPORT なんて、相当趣味的なクルマというべきです。

〈4ドアセダンのIS-F SPORT。RCでは実用性が、、、と思う方にはこちらが良いのでは。〉
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ましてや、このISベースで、もっと台数の出ないクーペは高くなって当たり前だと解説しないと、レクサスはこのようなクルマづくりができなくなるでしょう。
もともと、こういうパーソナルで贅沢なクーペは、ヨーロッパ車の独壇場です。そしてそういうスペシャルバージョンはとてつもなく高い。だから贅沢なのです。
もはやメルセデスですら、クーペはオープンのSLKとSLしかなく、その他は、かつてのトヨタ・カリーナEDが開拓した4ドアクーペです。カリーナEDが日本で大当たりしていた頃は、日本の自動車評論家はこぞってカッコばっかりで実用性がないと批判してきたものです。2ドアオープンのSLKは4気筒2000ccのターボエンジン車のみで、価格は509万円から653万円までです。価格にナビは含まれますがメタリックペイントはオプションです。また、4ドアクーペのCLAはFF車ですので、FRの4ドアクーペとなるとCLSになり、Eクラスベースなので価格は735万円からです。これに対して、RCは2ドアのFRのクーペという贅沢な仕様で、2000ccターボエンジンは525万円から585万円、596万円から660万円のRC350は、エンジンはV6の3500ccです。ヨーロッパに追いついたのかとかヨーロッパばかり見ているなら、こうして価格や装備を公平に比較しなければ、わずかな台数でこの価格に留めている努力を見ることが出来ませんし、読者の共助たり得ないと考えるべきです。

一方、エレガントなクーペといえば、私は古典になりますが、いすゞの117クーペが好きです。

〈いすゞ117クーペ 1971年型〉
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美しく、4シーターともいえる実用的な広さをエレガントなデザインの中に内包するのがジウジアーロさんのデザインならではで、この思想はのちのピアッツアやスバルSVXにも引き継がれています。117クーペはベースとなったシャシーがフローリアンの古典的なものだったので、リアサスがリーフリジッドであるなど走りの性能という点では十分なものではなかったようですが、こんな美しいクーペを前にしてそんな事をいうのは野暮というもので、実際、117クーペに対するジャーナリズムの評価は「この美しさだけで十分」というものが多かったと思いますし、ユーザーにも深い理解を得ており、さきほど調べていたら発売してから10年間、ただの1台も廃車が出なかったという業界記録を持っているそうです。
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(エレガントな佇まいのクーペがお好みなら、まさにこんなクルマこそ「お洒落」というもの)
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ですが私は、RCのようなハードな仕立てのクーペを前にそんなことは言いません。
逆もまた真なりなのです。
RCのようなクーペを前にして、威圧的な顔は好みではないなんて、パスタ屋さんに行って「ここはソバはねぇのか」と言っているようなものです。
嫌なら余所へ行けばいいだけで、こういうジャンルのクルマを選ばなければ良いだけでしょう。ジャーナリスト個人の感想なんていらないんです。
クルマジャーナリズムの欠点は、結局は自分でお金で買う訳ではないので、コスト意識に欠け、欲しいと思って検討している人の目線に立てない場合が見られることです。

ジャーナリズムとして、個人ではなく会社のお金でこういう社会的に関心があるであろうという立場で買ってテストしているもののレポートであれば、個人の好みではなく、RCの、しかもF SPORTを検討しているという人の立場でものを見るべきです。
さらに言うと、RCのフロントデザインが上品とはいえない、苦手と批判していた記事では、同時に(トヨタのワゴンの)似たような威圧感のあるフェイスのアルファード/ヴェルファイアが1ヶ月で42000台もの受注があったことに触れ、(苦手と思う)「自分の方が稀なのかと心配になる」と書かれていました。
私はここに、自動車専門誌のジャーナリストの感覚があると思います。自分たち(だけが)正しいと思っているのです。

実際、トヨタのメガウェーブに写真を撮りに行った時、アルファードとミライにはひっきりなしに人が出入りして、人のいない写真を撮れないんです。ちょっと離れて様子を伺っていたのですがダメでした。凄い人気です。

〈トヨタ・アルファード〉
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私もこのフェイスは好きではありませんが、神津島での送迎でアルファードに乗ったときは、中が広くて開放的でいいなぁと思ったものです。昔はこういうクルマは旅館送迎などに使われるものと思われてきましたが、こういうクルマにみんなが乗り合わせで行きたいということも、私は日本の社会的な要請、好みなのではないかと思います。実際自分も結婚してみて分かったのですが、両親の家が近ければ、お互いに食事に出掛ける機会などはよくあるものです。そうなると夫婦2人+両親2人でもう4人ですから5人の乗りのセダンではあと1人しか乗れません。子供が2人いたらもう対応できないのです。私も町の役員をやってみて分かったのですが、若い夫婦同士はご高齢の方とは別に交流が活発で、お子様同士をご縁にしたおつき合いも多いようです。そんな時も、この開放的な1BOXは実用的に役立つでしょう。

(この写真は、タイミングを伺っていた私の様子を察してくれた外国人のファミリーの方が譲ってくれて撮らせてくれました。感謝です。)
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かつてクラウンの独壇場であった法人需要も、今やアルファードがライバルなんだそうです。クラウンのMCに当たっても、新CEが仰るには、アルファードからなかなか顧客が帰ってこない、戻せないということです。だからこそ、クラウンもどんどんチャレンジして変わっていかなければならないのです。
こうした社会的な動きに全然対応できないのがクルマジャーナリズムです。なぜか?それはここまでの議論で分かっているように、彼らはクルマのユーザーである市民を見ていないのです。

「(アルファードが苦手だという)自分が心配になる」というジャーナリスト氏に、私はこう言いいたいんです。(言っても回答はないと思いますが。)
「心配することはありません。私も好きではありません。でも自分の趣味が「正しい」と思う事はやめた方がいいのではないですか。趣味はそれぞれなんです。年も取ったんだし、私はAKBもNMBも一人も分かりませんし、フレンチキッスが解散したと聞いても何のことか分かりませんが特に心配なんかしていません。私は今でも大貫妙子さんの「若き日の望楼」と吉田美奈子さんのアルバム「フラッパー」が好きですが、自分を心配などしていませんし、若い人に聞かれれば自信をもって推薦しますよ」と。

さて、こんなに寄り道をしたのは、クラウンの批評に関して、前回の続きを書くためです。
前回引用して批判した毎年でるクルマ批評本の2015年版のクラウンの記事ですが、この批評には次のようにありました。
「柔らかいだけで真っ直ぐ走らない昔のクラウンのようだ」
(あえて剛性を落としてしならせるようにしたというサスペンションアームについて)
「こんなもの、テストコースでは良くても一般道ではふらふらと落ち着かない乗り味になっているだけだ」

これについて書いてみたいと思います。
「真っ直ぐ走らない」とはどういうことでしょうか。普通、真っ直ぐ走らないというのであれば工業製品としては欠陥車です。すぐに消費者センターに欠陥車として通報すべきでしょう。
通報しないということは程度問題、解釈の問題なのでしょう。すでに現行型クラウンは相当なヒットをして2013年に82,701台(ランク8位)、2014年に49,166台(ランク15位)売れていますが、「クラウン、真っ直ぐ走らねーぞ!」なんていうクレームを聞いたことがありません。

〈クラウン・アスリートと私のレクサス・HS〉
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「誰のためのクラウンなのか」という不思議なタイトルでクラウンを批判的に特集した自動車専門誌のクラウンのレポートですら、「高速巡航時はステアリングに軽く手を添えているだけで良く」「曲がる時も真っ直ぐ走るときも必要以上の気を遣わなくて済む操縦性だった」とあります。特にロイヤルの乗り心地は素晴らしかったそうです。

〈14代クラウン・ロイヤル(MC前)〉SIGMA SD1 Merrill、SIGMA10-20mmF4-5.6
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また、ニッサンのGT-Rの元開発エンジニアで厳しいテストレポートで知られる評論家氏のクラウンに対するレポートを見ると、「ダルだけど完璧に合わせこまれた素晴らしいもの」「日本の道路事情と日本人の運転特性に限定すれば欧州車にも作れない日本のジャガー」だと評価されていました。

自動車の評価ですから、テスターの感性によってある程度の差が出るのは当然ですが、同じクルマに対して「こんなもの」と「素晴らしい」が混在するようであれば、どちらかの評価のバランスがおかしいと思っても不思議ではありません。クラウンはトヨタの基幹車種です。クラウンは、テストドライバーの手ほどきを受けてレーシングカーのドライブもできる豊田章男社長が「デザインと走りに徹底的にこだわった」とスピーチしたクルマです。マジェスタの開発インタビューでもありましたが、クラウンは、豊田社長自らすごいスピードでコーナーに突っ込んでいって開発者を冷や冷やさせているそうですから、そんな豊田社長が責任を持ってOKを出したクルマが「こんなもの」ではないことを私は確信しています。だいたい人が一生懸命作ったものに「こんなもの」という言葉は相当の覚悟がないと使えないと思うべきです。

「敢えて剛性を落としてしならせるようにしているサスペンションアーム」ですが、自動車専門誌の記事によると、似たような機構は、良く曲がるが直進性が不得意と言われるBMWが最近よく採用しているものなのだそうです。BMWにも「こんなもの」って言っているんですかね?

〈14代目クラウン・アスリート(MC前)〉
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善し悪しの評価が極端にどちらかに偏ると何故いけないのか。
私はこう考えています。自動車評論家やテスターはそれぞれの意見があるのは当たり前です。しかし、自動車評論は自分が乗るのではなく、それを読むユーザーが乗ることを前提にしなければなりません。一般的な視点が欠かせないのです。むしろ自分の好みなど分からないくらいに黒子に徹したものでなければテストドライブとして「共助」になり得るものではないと私は思います。
議論が極端に偏っていると、書き手を選ぶ編集者の選択によって、「全然ダメだ」というレポートと「これは素晴らしい」というレポートのどちらでも、いつでも好きなように出せることになります。

例えばこんなことがありました。
自動車専門誌の記事で、クラウンのロングホイールベース版で、運転手付きのショーファードリブンとして使われるクラウン・マジェスタを取り上げたもので、それをメルセデスのEクラスセダンと比較したものがありました。
これなどまさに異種格闘技のようなものですが、マジェスタが静かに流れる高速道路を大人しく走っていると非常に静かでエンジンノイズなんてゼロに近いとし、乗り心地も非常に良いとあります。一方、ワインディングロードに乗り出すとステアリングフィールに乏しくて積極的に飛ばすドライバーに向かない、しかも市街地では燃費に差が付くが、ワインディングだとあまり差が付かない、だからメルセデスのEの方が優位性が高まるなんて書いている。もう呆れて意見をメールで送りましたが当然返事なんでありません。
クラウンのマジェスタがどんなクルマか考えてみれば分かることです。7割が法人需要で、会社の社長などのトップが都市内を移動する用途がほとんどでしょう。その用途にキチッと合わせてあるのです。メルセデスのEは、アウトバーンで200km以上で走る高速セダンです。これとマジェスタを比較して、「スポーツ性が、、、」なんて言っているのは実におかしな事で、本来比較するような対象ではないのです。
このテストのEクラスセダンは890万円、マジェスタは610万円です。法人需要にとって280万円にも及ぶコスト差がどれほどのものか考えたらこんな記事が書けるはずがありません。Eと比較したいなら、レクサスのGSを持ち出すべきでしょう。でもそんな気は無いのです。クルマの評価に対するバランスが悪いとどんな記事でも書けるというものの一つだと思います。

〈クラウン・マジェスタ〉
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この2015年版のクラウンの評論では、クラウンの内装について、いわゆるプリントフィルムの木目調パネルのことを「フェィクウッド」だと指摘し、「安いけどそれっぽくという路線に堕した」と批判しています。
前回も書きましたが、クラウンは、クラウンを長年愛し続けているユーザーのために開発されています。
アンケートを取ってみれば、ハイブリッドで、470万円程度がいいという要望だったそうです。だから、その範囲内に納めなければならない。クルマ造りは趣味じゃないんです。470万円は欧州車の高級車に比べればリーズナブルですが、日本の平均的な年収、所得から言えば間違いなく高額車です。
高性能なナビ付きで、売れ筋の「アスリート・ハイブリッドS」を469万円に納めるために木目調プリントシートを使ったところで何の問題もありません。まして、ロイヤル(MC前)の金糸柄木目調シートなんて、日本的な塗り物の金糸柄をイメージさせていい柄だと思います。木の皮を剥がして貼ることだけが高級だなんて、古臭い考え方は捨てるべき。欧州車に対抗するべきと考えるなら、日本的な情緒指向はやめて、それこそ欧米人のようにもっと合理的に考えるべきです。
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この自動車評論は最後に、
「グローバル基準の高級車はレクサスに任せて、そこは見ないということか。」
「(売れているので)ヤンキー文化の日本にはフィットしているということかもしれない。」
とまとめてあります。こんな失礼な物言いがあるでしょうか。
この表現は、歴代クラウンを支持し、クラウンを愛するユーザー皆に向けられていると受け止めるべきです。
そして、私はそのことに、大きな抗議をしたいと思っています。
クラウンだって変わらなければならない。そして国内にはそれを支持する市場もあるのです。ヤンキー文化って何ですか?失礼も甚だしい。これが自動車ジャーナリズムなのです。

「グローバル基準の高級車はレクサスに任せて」というけれど、本当は、グローバル基準なんてないと思います。
どういうことか?
例えば、2014年の乗用車販売ランキングでイギリスとアメリカを比べてみたのが以下の表です。
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我々から見たら、イギリス人もアメリカ人も同じように背が高く、大きな人が多いと思いますが、イギリスのベスト5はぜんぶ5ドアハッチバック。ベスト10で見てもニッサンのSUVが2車入るだけで、あとはVWポロなどのハッチバック車です。大きさも見て頂くとおりすべて小型車ばかり。ボクスホールってご存じですか?中味はドイツのオペルですが、ボクスホールは英国の会社です。GMグループ系列なので、今は、同じく系列のオペルのクルマをバッジエンジニアリングでボクスホール車として売っている。そしてそんなバッジエンジニアリングでも、「英国車」をイギリス人はベスト5のうち2車選んでいるのです。
一方、アメリカのランキングは、上位5車はすべて4ドアセダンで、しかも大型のものばかり。アメリカに行けばカローラだって、182インチ(約4.6M)あるんです。これ、日本に持ってきたら、カローラだって思われないでしょうけれど、欧州的な感覚(セグメント)で言えば、ゴルフクラスのCセグメントサイズとして見てもそれほどおかしくはありません。

(米国版カローラ)
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尤も、アメリカで乗用車ランク(パッセンジャーカー)で見るとカムリが2014年度計48万台売れていて1位なんですが、オールビークルランキングで見るとカムリの48万台は4位なんです。では1~3位は?全部ピックアップ車です。
1位のフォードFシリーズは75万台も売れています。こんなにピックアップ車が好まれるのがアメリカという国の特徴です。

(TOYOTAのアメリカ向けピックアップ TUNDRA。全米オールビークルランクは11万8千台で41位)
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アメリカで最もポピュラーなNAS CARのレース。トヨタはカムリをエントリー。カムリのレーシングカーなんて、日本では考えられないですよね。世界の価値観は、それだけ違うということだと思います。
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ヨーロッパの中だって、国によって事情は全然違います。イギリスは小型のハッチバック車が好まれるようですが、その中にちゃんとイギリス資本のボクスホール車が選ばれています。
乗用車資本のない国は?例えばギリシャは、トヨタのヴィッツ(ヤリス)が1位になったりします。欧州用ヤリスには、ハイブリッドもあります。

(トヨタヴィッツ)
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どの国にも国内事情というものがあり、また、国の文化を愛する気持ちがあります。
世界を広く見渡せば、ドイツの御三家がプレミアムだなんて小さな小さなことです。気にする必要も、卑下する必要もありません。北米人が好きだからって、何も5メートルもあるようなピックアップトラックに好んで乗ることもないでしょう(アメリカ文化好きの私は、昔はニッサンのダットサントラックに乗りたかったです。。)
カムリがどんなにアメリカ人に好まれても、日本の自動車評論家とかジャーナリズムはぜんぜんこれを評価しません。
でも私は、日本でカムリを買うなら、アメリカ車みたいにフワフワでも全然構わないと思います。48万台も売れているんです。14年連続ナンバーワンなんです。そういうアメリカ人の価値観を買うと考えるべきです。でも、(ここが大切なところですが)だからといって、日本のクラウンがそれに合わせることはありません。4.7M近いカローラは、日本では支持されないでしょうし、合わせる必要なんてないんです。
グローバルだグローバルだと騒ぐなら、欧州の、北米の、一般の乗用車をユーザーがどんな風に選んでいるかを広く見て考えるべきです。自ずと、ベンツがいいだのクラウンは世界に通用しないだのといった議論がばかばかしいものに思えるはずです。それぞれの国柄に合わせて、自分の好みで選んだらいいと思うのです。
それが、私の「さよなら、クルマジャーナリズム」の結論です。
頑張れクラウン!

by bjiman | 2015-11-10 07:43 | CAR | Comments(0)
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