トヨタ・クラウン60周年記念展に思う~クルマジャーナリズムは「共助」を目指すべき~さらばクルマジャーナリズム⑦

〇自動車メディアには、「共助」を目指してもらいたい
私は今年、ひょんなことから町の役員をやらせていただくことになり、そんなおつきあいの中から、防災用語の「共助」という言葉を教わりました。日頃から災害に備えて自分でできることをやっておくのが「自助」、みんなで備えておくのが「共助」、自分でもみんなでも備えきれない部分をお願いするのが「公助」という訳です。公助の経費は結局は自分たちが持つ訳なので、自助や共助の範囲をなるべく取り込んでおく方が良い訳ですが別にお金に限らず、コミュニティの強化は町の安全にも繋がります。私は、ネットやSNSの進展に従って、メディアに求められる役割も非常に変わりつつあるように思いました。私の青春時代には、クルマなどの専門知識を得ようと思ったら自動車専門誌を買ってその試乗記などを読むしか知識を得る方法はなかったし、例えば、私の愛用していたシトロエン・クサラがフランスではどのくらい売れているの?と思っても情報の入手のしようがなく、海外旅行した友人にフランスの雑誌を買ってきてもらい、ランキングを見たら(確か)8位くらいで普通に売れているのを見て、オーナーとしてはホッとしたこともありました。でも今は、こうした情報はほとんどネットで得ることができますし、トヨタのGAZOOのように、メーカー自らが情報発信を強化していることもあって、欧州車に偏ったバイアスの掛かった専門誌の記事を読むよりも専門的な見方が得られたりします。また、SNSの進展によって「みんカラ」の燃費データのように多くのユーザーが不特定の条件で走行を重ねたまさに実走行データの積み重ねによって、自動車専門誌の記者がチョイ乗りした「参考値」のデータよりも客観的なデータが得られるようになったと思います。
こういう中で自動車ジャーナリズムに私が言いたいことは、「共助」を目指してもらいたいということです。自動車専門記者や評論家なのだから専門知識がある訳でしょう。それを解説することで、ユーザーが購入する際に共助になるのです。しかし、残念ながら、燃費データ一つ取っても、レクサス・HS250h インプレッション⑪ 燃費表記のあり方についてで書いたように、客観性がない書き方をしていると思うのです。これでは共助足り得ません。

〇クラウン=「自称」高級車?
 現行型クラウンには、購入を検討した私から見るとおかしな記事、評論が多数見かけられましたが、中でもおかしいと思ったのは、毎年出る自動車評論の本の2015年版に載っていたクラウンの記事です。
クラウンを評して、「アウディの劣化コピーのようなデザイン、フェイクウッドとカラオケボックスのリモコンのような安っぽい絵柄の操作系の自称高級車」だと言うのです。まずひとつずつ書いてみたいと思います。

〇「自称」とは
 自称とは、「自分から名のること。真偽はともかく、名前・職業・肩書などを自分で称すること。(小学館デジタル大辞泉」)」です。クラウンは自称高級車なのでしょうか。
クラウンの発表会における豊田章男社長のスピーチの中で、「日本の高級車の最高峰であり続けるクルマ。」とお話しされているので、間違いなく、メーカーは高級車として開発しています。
それでは、その事を他人は認めていないのでしょうか。
「トヨタ クラウン」と入れてニュースを検索してみると、最初に出てくるのが、10月5日付けの大新聞の記事で、「トヨタは「高級」セダン・クラウンをマイナーチェンジした」、次は自動車評論家が投稿しているブログサイトで、「日本で一番売れている高級車!! トヨタ「クラウン」シリーズがダイナミックにマイナーチェンジ!!」というタイトル、、、何もこんなことをわざわざ書かなくても、クラウンが「自他共に認める」日本車で最長の歴史を誇る高級車であることは明らかです。
 この自動車評論では、さらに、「さすがにトヨタも今やクラウンを高級だと言って売ってはいないようではあるが」と書かれています。とんでもないことです。
 豊田章男社長は、スピーチの中で、新型クラウンは、トヨタのリボーンの象徴、14代目として歴史に名を刻むにふさしいものになったとお話されています。いったい、どういう受け止め方をすればこのような解説ができるのか全く理解できません。
 私は、私がここでこのように書くことも含めて「表現の自由」を最大限尊重するものでありますが、表現の自由とは、どんなことを書いて良いということもないと思っています。クラウンを「自称高級車=自他共に認める高級車ではない」とすることは明らかな間違いです。私には揶揄しているように思えます。

(クラウン60周年記念展には多くの来場者が訪れていました)
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〇「カラオケボックスのリモコンのような絵柄」?
 MC前のクラウンのCEだった山本CEによると、クラウンユーザーは団塊世代の方が中心になってきたといいます。団塊の世代といえば既に60歳代も半ばです。私の「いつかはクラウン」②の中でも書きましたが、クラウンの操作系は、何と言っても字が大きくて、操作系の表示も「TV」「オーディオ」「車両設定」「エアコン」とか分かりやすく書かれていて、高齢者に配慮していることは一目瞭然です。
実はこの大きな字の操作系は、私が購入を検討して試乗した時、最初に「自分にはまだ早い」と思った事の一つでした。当時私は後半とはいえ40代でしたから、「エアコン」とか「オーディオ」とか大きな字で書いてある操作系はもう少し遠慮しておきたいな、、、という気持ちがありました。でも、こういう操作系が有り難くなる年齢がもうすぐ目の前であることも分かっていました。既に近眼用の眼鏡では近くの文字は見にくくなっていましたから。クルマを運転するために遠くを見ると近くが見にくいといのは安全上危険なので、こうして字が大きいのはとても良いと思います。また、文字ばかりだと混乱するので絵柄を大きく採用するのも瞬間的な認識を高める上で有効でしょう。人間誰しも年を取り、また高齢化社会を迎える我が国にとって、こうした高齢者に優しいユニバーサルデザインは、何よりも事故の防止に繋がります。クルマは公共の公道を走る社会的な存在です。高齢者の多い高級車であるクラウンが、率先してこのようなユニバーサルデザインを取っていることをジャーナリストや自動車評論家の方は高く評価すべきではないかと思います。少なくとも私は、こうしたことに想像力が働かないのは、ユーザーに対する配慮が欠けていると思います。

(クラウンの高齢者に配慮したユニバーサルデザインのインパネ(MC前))
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下は、レクサスISのフロントパネル。ISは、クラウンと価格帯は同じだし、2.5ℓハイブリッドのシステムも共同開発ですが、ターゲットにしているユーザー層が異なります。レクサス共通のデザインでもありますが、この小さなスイッチ類は、クラウンの平均的なユーザー層の60代の方にはツライと思います。クラウンはユーザーに寄り添ったデザインをしているし、ISは、世界に出て行くプレミアムカーとしてデザイン的にもカッコ良いところを狙っている。どちらも間違ってはいないと思います。
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〇「アウディの影響を受けたデザイン」?
 王冠マークをイメージしたフロントグリルのことを指摘しているんだと思いますが、クラウンのこのグリルは、もちろん文字通り王冠のイメージと、あと、レクサスのスピンドルグリルのプレミアムなイメージとの共通化だと思います。クラウンの下段をひっくり返せばスピンドルになるでしょう?クラウンは、アウディは見ていないと思いますよ。(もともとのレクサスのスピンドルグリルのデザインの手法はアウディのAフレームと似ていると思いますけどね。)

(左:レクサス IS 'F SPORT' 、右:クラウンアスリート(MC前)
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最近のトヨタ車って、よく見るとフロントデザインがスピンドルデザインを感じさせるものが多くなっています。レクサスとのそこはとないイメージの共通化を図っているのではないかと思います。
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最近のレクサス=LXやNXとアルファードだって、こうやって並べれば似ているように思います。クラウン(MC前のロイヤル)も、こうやって見ると他のものとのイメージがそれほど離れていないように見えるのではないでしょうか。
別にこういったデザインが好きだという訳ではありません。クラウンだけを取り上げて、「アウディのコピーだ」なんていう評論を見ると、「いや、そうではなくて、トヨタの中は、今こうやってレクサスとのイメージを合わせているのではないですか?と言いたくなるんです。評論家の方はドイツの方ばかり見ているからそういう風に見えるのではないかなと思ったりします。
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今回で終わろうと思ったのですが、時間がなくなってしまいました。あと1回、よろしくお願いします。

by bjiman | 2015-11-05 05:00 | CAR | Comments(0)
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