トヨタ・クラウン60周年記念展に思う~日本人の誇りを載せて④~

プロ野球解説の張本勲氏が、先日メジャーリーグのフロリダマーリンズの最終戦でイチロー選手が投手を希望して勤めたことに対して「お客さんや他のピッチャーに失礼」だと発言したとのことですが、私はこういう発言を好ましく思いません。ご本人も一言触れたようですが、新聞報道によると、メジャーリーグではスター選手がリタイアする年の最終戦などに希望して投手をすることはあるようですし、普段の試合でも死力を尽くした延長戦で投手がいなくなって野手が投手をつとめていたシーンは私も見たことがあります。そもそもプロ野球選手、ましてやスター選手であれば「高校時代はエースで4番」という選手も多いもので、エースナンバーを背負った投手は、野球選手の憧れでもあるでしょう。もちろんイチロー選手だって高校時代の途中までは投手でもありました。スター選手になっても一度、投手をやってみたいという素直な憧れを少年のように持ち続けているということも素敵なことだと思います。少年達に夢も与えることでしょう。こうした他国の通常の習慣に対して尊重することができない方は、自国の文化も大切にすることができないと思います。日本のスポーツ界を盛り上げることもできないでしょう。イチロー選手はグローバル規格の真のプロフェッショナルで、メジャーリーグでも尊敬されていると思います。だからこそ、投手をするという希望も叶えられたのでしょう。こうした真のプロフェッショナルに対してはもっとリスペクトすべきだと思います。もっと言えば日本だってこうした習慣を見習っても良いのではないかと思います。オールスターでイチロー選手が投手をつとめた時、ピッチャーの高津投手を代打に出したことがありますが私はこの方が疑問でした。プロ野球はプロフェッショナルスポーツであると同時にトップエンターテイメントでもあります。同じように比較することは出来ませんが、フィギュアスケートのエキシビジョンではシングルの選手がペアを演じることもあるようですが、私はこれがペアの選手に失礼であるとは思いません。オールスターのプレミアを高めるのであればメジャーのように1試合限定にすれば良いと思いますが日本は興業優先の立場が目立ち3試合もやっていました。非常にちぐはぐだと思うのです。
いつも思う事ですが、日本が真の意味でグローバルになるためには、グローバルバージョンの基準と国内基準の複眼的なスタンスを持つ必要があると思っています。クルマだって同じだと思うのです。
トヨタクラウンは、複眼的な視点を踏まえた「国内基準」のクルマです。クラウンはその成り立ちから「日本のために」生まれたクルマでした。輸出されたこともありますが、通産省が自動車を国内産業として育てるために設定した小型車規格(5ナンバー)の枠いっぱいのサイズを守って作られ、国際基準から見たら縦長で細身のスタイルをずっと堅持し、5ナンバーの殻を超えてからも、グローバルサイズになるのはカムリやレクサスに任せて、横幅を1.8mに抑えつつ「日本の高級車」として育ってきたのです。日本にクラウンがあるからこそ、グローバルに打って出たレクサスは安心してグローバルサイズを取る事ができ、グローバルな基準に合わせたクルマ造りが出来るのだと思います。
経済コンサルタントの方が書いた記事で、アメリカでベストセラーになっているカムリやアコードが日本で売れないのはおかしいというものを読んだことがあります。カムリやアコードはアメリカの嗜好・規格に合わせて作られています。販売台数が桁違いに多いのですから当たり前のことだと思います。かといって、そうしたものが日本でそのまま使いやすいかと言えばそうともいえないと思います。アメリカの食事がそのままでは多くの日本人には量が多すぎるといったことと同じ事です。一方では、自動車専門誌がカムリに対して「白物家電のような」とか「ふわふわのハンドリングで」とかこれまた欧州車偏向の観点からのみ捉えた批判をしていることもおかしなことです。アメリカという異国で13年も連続してセールス1位を取る仕事の素晴らしさを認めることのできないジャーナリズムというのは何なのかと思います。こうしたリスペクトのない評価が科学者が逃げるという現象にも繋がってしまいます。単眼的な議論はクルマを使うユーザーにも社会にも寄り添っておらず、結果にも結びつかないものだと思います。トヨタはグローバルと国内基準の「複眼的な視点」を大切にしているのではないかと思っています。それがクラウンの60周年という伝統につながっているのでしょう。

7代目クラウン(MS120系・1983~) SIGMA DP1 Merrill
 7代目クラウンは、私がクルマに興味を持った大学時代のジェネレーションなのでとりわけ思い出深いクルマです。
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私が免許を取った時の教習車はクレスタでした。世の中は「マークⅡ三兄弟」と呼ばれたクレスタ、マークⅡ、チェイサーの三兄弟が人気を呼んでいた頃。マークⅡやチェイサーもそうでしたが、この頃のトヨタのハードトップは、ピラーがガラスに隠れて一見ピラーレスのように見えるというタイプのもの。この2世代前までは2DrHTがあり、それを継承するようなカタチでの4ドア版なのでスポーティさを演出する意図があったのでしょう。
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この世代で好きだったのが後でマークⅡにも似たデザインが採用されたリアピラーのクリスタルピラー。クラウンらしい高級感と上品さが演出されていたように思います。
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今のクラウンとは隔世の感があるのが当時多かったアメリカン・セダンスタイルのソファみたいな内装。これは当時からあまり好きではなかったです。
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クラウンを代表するコピー「いつかはクラウン」はこの7代目時代の「’いつかはクラウンにと多くの方がおっしゃいます’」から来ています。
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エンジンは3ℓ直6もありましたが、2ℓスーパーチャージャー付きもありました。2ℓにもこうしたハイレベルなエンジンを積んだのは、この時代はまだボディサイズの設計の基本は5ナンバーで、バンパー長を抑えた5ナンバー車を用意していたからです。
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8代目クラウン(MS130系・1987年~)
 8代目クラウンは、7代目クラウンのデザインをベースにしつつも角が取れ、全体に丸みを帯びると同時に何か品格のようなものが磨かれた印象のモデルです。この当時、トヨタは既に1989年からレクサスをデビューさせることを発表していました。グローバルデザインと国内デザインを区分することを意識していたと思います。この世代の特徴は、3ナンバー車はボディが専用のものになって5ナンバーの小型車ではなくなったことです。1989年(平成元年)の税制改正によって事実上の保護策となっていた5ナンバーサイズの横幅規制(1700mm以下)から開放されることによってクラウンも伸びやかなボディを手に入れました。同時に3ナンバー輸入車の競争力が相対的に強くなる時代でもありました。
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特にこの辺りの世代から、塗装の品質が良くなっているなと感じます。
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クラウンは国産車では唯一といってもいい「グリルのイメージ」を確立したクルマです。クラウンと同じように長い歴史を持つスカイラインが、実際にはインフィニティQ50としてのコンセプトが強いにも関わらず、「スカイライン」というブランドを捨てたくないために、フロントはインフィニティ、リアにSKYLINEと表示する迷走を見ていると、クラウンが確立したイメージはもっと評価するべきだと思っています。
メルセデスのスリーポインテッドスターやBMWのキドニーグリルは無条件に認める日本のジャーナリストは、日本のクラウンのグリルは認めません。不思議な人達です。
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9代目クラウン(JZS140系・1991~)
 私も中古車を愛用したユーノス・ロードスターやスカイラインGTR、セルシオが登場した1989年、ホンダNSXが登場した1990年の頃、国産車は一つの到達点に達した時代だったと思います。80年代以降のアメリカ風からヨーロッパ風へのスタイルチェンジがあってそれがレベルアップし、ユーノスロードスターのようにヨーロッパで高く評価され、BMW・Z3やメルセデスSLK、フィアットバルケッタのようにフォロワーを生むというクルマがとうとう出始めたという意味で私もとても驚いた頃でした。さきほど触れたように日本では1989年の税制改正によって事実上の国産車保護策の撤廃により、それまでは目標であった欧米車と同じ土俵で比べる時代の始まりであったように思います。
 この時代、クラウンも大きな変化をしました。3ナンバー車がロイヤルとマジェスタに分かれ、いわば上級クラウンともいうべきボディが生まれたからです。形式名がそれまでのMS系からJZS系に変わったように、マジェスタはシャシーが伝統のフレーム構造から現代的なモノコック構造を取った初めてのクラウンになりました。すでにアメリカではレクサスも始まり、日本ではセルシオとして発売もされていました。レクサスは当初日本では展開の予定がなかったそうですが、クラウンにはセルシオとは異なる国内専用という性格が強く練り込まれたのではないかと思います。
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塗装の品質の良さが一層感じられるようになり、スタイリングの上品さに艶を与えているように思いました。
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今回改めてクラウンを俯瞰して、この辺りの世代から、私はこの上品さが魅力だと思うようになりました。自分が実際に買えるか買えないかは別にして、「欲しいクルマ」として意識しました。好きなクルマ、好きなデザインでもあります。
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次回は、近年のステップアップしたクラウンたちを取り上げたいと思います。

2015.9.20 トヨタMEGAWebにて
SIGMA DP1 Merrill

by bjiman | 2015-10-12 02:26 | CAR | Comments(0)
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