トヨタ カローラ・アクシオ ~諦めないということ~

トヨタ・カローラが、3月のMC後、好調に販売ランキングを上げており、5月、6月にはとうとうFMC前のプリウスを横目にランキング2位に躍り出ました。私はこれを見てとても驚くと同時に、トヨタの諦めずに努力する姿勢が素晴らしいなと思いました。
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私は別にカローラのファンでもトヨタのセールスマンでもありません(笑)が、クルマジャーナリズムを読んでいると、ちょっとおかしいのではないかと思って書きたくなることがあります。
昨年の秋頃、ネットのWeb記事で「セダン市場は縮小しており、国産セダンでベスト30位に入っているのはクラウンだけだ」という記事を見た際、「(当時)7位のカローラをお忘れじゃありませんか」とメールしたところ、他に同様の指摘もあったのか次の記事で「カローラもあるという声があるが、カローラのランキングにはワゴンのフィールダーも含まれている。」と書かれていました。こういうことを言っているからダメなんだと思います。

(TOYOTA COROLLA Axio(MC前) @お台場) SIGMA DP1 Merrill 
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国内市場で売れなくなった車種はセダンだけではありません。セダンベースのワゴンの方がもっとそうです。私が若かった頃、多くのセダンには後部を伸ばしたワゴンがありました。もともと商用バンから普及していったという事情もありますが、クラウンにもセドリックにもマークⅡにもブルーバードにもサニーにもシビックにもスカイラインGTにさえもワゴンボディがありました。学生時代、私たちよりちょっと上の世代は、サニー・カリフォルニアやシビック・カントリーといったクルマたちに乗っていました。名前のとおりこれらは、アメリカのステーションワゴンに倣ったアメリカ文化が全盛の時代のもので、それ風に木目のシールをボディに貼っていたのが特徴。実際、シビックカントリーなんて、アメリカ本国で1980年のインポートカーオブザイヤーになっているほどです。
しかし時代は変わり、ステーションワゴンの需要はミニバンやSUV車に移りました。別にセダンやステーションワゴンが悪い訳でもなく時代とともに変わっていく形式というものがあるんだと思います。
そんな中で、いくらでも販売不振を時代のせいにできるだろうにそれをせず、セダンやワゴンが好きだというユーザーに商品を供給し続け、販売不振でも売れるように改良努力するという姿勢が、フィールダーをして「このクラスでは貴重なワゴンボディ」なんて言われて販売結果の違いになっているんだと思います。セダンボディだって、セダン不振だと言われる時代にあって、例えば現時点、6月の販売実績を見るとフィールダー8,120台、セダンのアクシオが5,170台で、セダン単体でもランク16位に相当する台数まで上げてきています。ハイブリッド車の追加や、スタイルのテコ入れなど地道な改良が結果に結びついていて。セダンだって、セダンベースのワゴンだって市場に受け入れられるんだということを身をもって示しているように思います。百万言のジャーナリズムより結果なのです。
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先週、車種別の詳細な販売台数を調べようと思ってふと手に取った隔週クルマ雑誌の特集を見て、「またか」と思いました。「セダン崩壊時代にズバリ迫る」。冒頭、5月現在で1,000台/月以上売っているのはクラウン、カローラ、グレイスだけだとしつつ、「クラウン、カローラはハイブリッドもあり、ビックネームなので予想はできる」と書いていて、もうこれだけでダメだと思いました。名前だけで売れるなら、セドリックやブルーバードやサニーがなくなるわけないでしょう。グレイスに次ぐセダン販売セールスの4番目はコロナ後継車のプレミオ(819台)です。名前が変わっていても結果を出しています。ハイブリッドならフーガやスカイラインにだってあります。これらより、なぜクラウンやカローラ、プレミオがセールスできるのか努力のプロセスを見ないと、いくら「迫って」みたところで何にも見えないでしょう。

〈プレミオの兄弟車・カリーナ後継のアリオンと、レクサスIS。私は、現在の日本車は、国内向けと国際基準車を分けて考えるべきだと思っています。〉
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なぜセダン不振の時代にクラウンとカローラ、プレミオがセールスを保っていられるのか。私は、この3車が国内の事情に絞って、クラウンやカローラ、コロナ(プレミオ)のユーザーのことを真剣に考えたそのレベルの差なのだろうと思っています。クラウンについては今まで私の「いつかはクラウン」で書かせて頂きましたが、カローラのことだってもっときちんと評価すべきだと思います。
例えば、2013年-2014年シーズンの日本カーオブザイヤーカーは、VWゴルフでした。
ゴルフは、言うまでもなく欧州のCセグメントクラスを代表する世界のベストセラーで日本でも輸入車のベストセラーです。実は私も(親との共用ですが)GOLFⅢのオーナーでした。当時のゴルフは、初代よりだいぶ大きくなったとは言え、全長4,020mm、1,695mmに過ぎず、日本の小型車規格である5ナンバー車でした。
(私のVWゴルフⅢ。1995年)
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でも今の7代目ゴルフは、全長は4,265mmとまだ小型ですが、全幅は1,800mmと今やクラウンと同じサイズにまで拡大しています。ゴルフベースのセダンであるジェッタは日本販売がありませんが、米国版を見るとサイズは全長183.3インチ(約4.66m)全幅70インチ(約1.78m)にもなり、私のレクサス・HS(4.71m×1.78m)とほとんど同じサイズです。ゴルフとベースが同じアウディA3のセダン(全長4.465mm×全幅1,795mm)が登場したとき、アウディジャパンは、(A3セダンの全幅は)日本のユーザーニーズに合わせて決めたといったことを発表しました。アウディとしてはこれは本当だろうし、実際メルセデスのCクラスなんて、Dセグメントセダンなのに全幅を1,810mmに抑えているのは明らかに日本市場を意識していると思われる訳です。ドイツ人はそこを分かって、いわば日本市場をターゲットにしているのに、クルマジャーナリズムときたら相手の広報をそのまま書いていたり、「今の日本で貴重な存在」「日本市場で扱いやすいサイズ」なんて書いていたのを読んで私は悲しい気持ちになりました。「貴重な存在、、、」それはそうでしょう。日本のセダンは国際市場に合わせてサイズアップすると売れなくなる傾向があります。ユーザーが望んでいないのでしょう。クルマジャーナリズムはセールス結果が出なければ「大きくなりすぎだ」「原点に返るべきだ」と批判します。外国の説明は無批判に受入れるのに、国内車には厳しい目を向ける。これは日本のクルマジャーナリズムにはクルマのサイズに関する定見がないことと、数字の羅列によるファクトに基づいた議論を嫌い、過去はこうだったといった感情論でモノを書くからだと思っています。
仮に、カローラがジェッタと同じサイズだったら売れるでしょうか。ジャーナリズムは賞賛するでしょうか。答えは、トヨタ自身が出しています。カローラは、マニアならご存じのように米国向けのクルマとは、今回のモデルからシャシー自体を変えているからです。

〈カローラ米国版〉@お台場
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米国版カローラのサイズは、全長4,651mm×全幅1,775mm。VWのジェッタやアウディのA3セダンとほぼ同じ大きさで、言ってみればこれが国際基準のCセグメント(小型車)サイズです。それに、歴代カローラが使ってきたMC(ミッド・コンパクト)プラットフォームはこちらの米国カローラに継続されており、国内用カローラは、ひとつ下のBプラットフォームに変更されたのです。カローラは、普通に開発されればこういう風になったということです。
もっと言えば、米国ではEPA(環境保護庁)のサイズ表記は、Passengerと Cargo Volumeの合計容量で表され、コンパクトクラスは、100~109ft3 までなのですが、カローラは、パッセンジャー(98ft3)、カーゴ(13ft3)の計111ft3 あり、何とカムリと同じミッドサイズに区分されています。カムリよりも一回り小さいサイズなのに、設計のうまさが光っていること、ライバルのシビックが107ft3(サイズは全長4,503mm×全幅1,752mm)なのと比べて一回り大きいあたり、初代カローラが先行したサニーよりも一回り大きいエンジンを積んで「プラス100ccの余裕」といって差を付けたその昔と同じ伝統だなと思うのです。
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実際、昨年ハワイに旅行したとき、カローラ、シビックをたくさん見ました。この辺の話はまた別の機会にすることにして、では、なぜ国内用のカローラはサイズダウンしたのか。その理由は明らかだと思います。
プレミオがなんで売れ続けているのか?コロナクラスなのでに、未だに5ナンバーだからです。クラウンがなぜユーザーから愛されているのか?Eクラスセダンなのに全幅を1,800mmに留めて、ユーザーの車庫に入るように配慮しているからです。スバル・レヴォーグがレガシィからチェンジして国内向けに配慮したことは何だったでしょうか。旧型レガシィとレヴォーグは全幅(1,780mm)は一緒で、全長を5ナンバー規格に納めるように約10cm短くして4,690mmに抑えたのではなかったですか。カローラは、プレミオが全長4,595mm×全幅1,695mmで設計されていて、実際セールス結果も出ている、ユーザーが望んでいるのですから、それ以下のサイズにする必要があります。米国カローラとの違いを考えれば、もはや、日米で同じサイズのクルマに出来ないことは明白です。
みんなが考える、使いやすくて、「これがカローラだね」というユーザーの意識に近づけていくこと、ジャーナリズムが何と言おうと、国際基準がどうであろうと、国内ユーザーを第一に考えると言うこと、最小限の大きさで、十分なゆとり。考えてみると、トヨタのクルマ造りは非常に基本に忠実だと思うのは私だけではないはずです。
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〈米国版は、ダッシュボードにレザー風のステッチが入っていて、ちょっと豪華な感じです。〉

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クルマジャーナリズムがシビックの日本市場最後の頃、なんて書いていたか。私の手元にある書評本(2011年版)のシビックの欄にはこう書いてあります。「ひとつの時代の終わりだ」そう書かれた最後のシビックのサイズは、「日本市場で扱うのにちょうどいいサイズ」と書いているA3セダンとたいして変わらない、むしろ横幅はひとまわり小さい4,535mm×1,750mmでした。
私は、日本のクルマジャーナリズムにこんなことを書かなくてもいいようにして欲しい。「もっと世界に正しく目を向けて、彼我の求める違いに基づいて書くべきだ」と思っています。




by bjiman | 2015-08-09 02:15 | CAR | Comments(0)
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