私の「いつかはクラウン」①

現行型のクラウン(14代目、S21♯型)は、私がはじめて見積もりも取って購入を検討したモデルです。

〈TOYOTA CROWN ATHLETE〉 @お台場MEGAWAVE (SIGMA DP1 Merrill)
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札幌在住時代、当時借りていた駐車場で、私のシトロエンの隣がクラウンでした。毎回眺めているうちに、ずいぶんと品のあるクルマだなと思うようになり、だんだん気になってきました。松戸に帰ってからも今借りている駐車場にもずいぶんクラウンがあるのですが、やはり佇まいに品があるように思います。
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そんな頃、この現行型クラウンがデビューし、思い切った若返りと、何よりクラウンを売りたいという情熱の感じられるモデルチェンジに共感を覚えました。私のシトロエンが13年目でそろそろ次が、、、と思っていた頃だったので、それから1年後でしたが、シトロエンの買い替えに際し、いの一番にトヨタのディーラーに見に行きました。私のお目当ては、2種類あるモデルのうち、より保守的なロイヤルの方です。

〈TOYOTA CROWN ROYAL〉
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ロイヤルの好きなところは、このインテリア。
日本古来からある「亜麻色」を意味するというフラクセンの明るい色合いのシートカラーと、木目柄に金糸柄を重ねたという素敵なパネルの組み合わせ。
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「対比と調和」をテーマとし、日本の美意識として「包む」「重なり」「表と裏」などのキーワードを形に表現していったというインテリアは、和を感じさせるモダンとしてなかなかのものだと思いました。
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私が特に気に入ったのが、この木目柄に金糸柄を重ねたという独特のパネル。
デリケートな細い金糸柄の線が、日本を感じさせます。
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このパネルに対し、自動車車評誌やWeb記事の自動車ジャーナリストの評論では、「フェイクウッド」だの「西陣織りのネクタイみたいな」といった私から見れば実にピントのはずれた評価を多く見かけました。
評価の可否は別にして、私は、これは日本の和食器に多く見られる「塗り物」の世界観からヒントを得ているのではないかと思いました。漆塗りをはじめとして、和食器の塗り物には、こうした金糸柄を用いたものが多く見られます。写真は、私が実際に使っているお盆の柄です。
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自動車評論などをなさっているジャーナリストの方々がどの程度、こうした和食器などを日常的にご覧になられているのかは分かりませんが、百貨店の和食器コーナーなどに行けば、こうした塗り物に金糸柄というデザインをとてもよく見かけると思います。
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クラウンは、「日本の高級車」です。そのインテリアの世界は、私たち日本人の、高級車であればそれなりに年代を重ねた方々が「高級だ」と感じるものである必要があると思います。それはデパートなどの演出にあるのではないかと思っていましたが、先日、偶然出かけた高島屋の玄関で、「ハッ」と思いました。
この柱のデザインです。
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デザインされた木目柄に浮かぶ鮮やかな金色。私は、「あぁロイヤルの世界だ」と思いました。
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私が前回、佐伯啓思先生の書かれた「もはや欧米に追いつくことが目的ではなく、西洋がモデルにもならない時代であり、今私たちに必要なことは自分たちがどんな社会を作っていくかという考え方なのであって、そういう思考の改革が求められているのではないか」という趣旨を引用したのはこういうことです。
自動車パネルの木目が本物の木を使っているのか、あるいはレザーがどこまで本物なのか、などという議論は実に意味のないことだと思います。コノリーレザーなどの贅沢な革内装や上質なウッドパネルはイギリス人の作り上げたもので、いくらそこに本物を求めたところで、他人の文化であって物真似に過ぎません。上質な木を貼れば高級なんですか?そうではなく、私は日本が育んできた塗り物や、日常的に高級だなと感じている色彩感覚を取り入れていく発想こそ、今後の日本に必要な発想ではないかと感じています。
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リアルウッドに拘らなかったからこそ、自由な発想ができるのであり、フィルムの中に和を表現して、きめ細かく仕上げる、こんなクラウンのデザイナーの考え方の方が、私には、西洋ばかり見ている自動車評論家の評論よりも魅力的な考え方のように映ります。
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クラウン特集、次回に続きます。


by bjiman | 2015-07-19 07:03 | CAR
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