レクサス・HS250h インプレッション⑥ SAIとの違い

〈ヤブカンゾウ〉 2015.6.28 川崎市立日本民家園にて (SIGMA DP3Merrill 50mmF2.8/開放、1/400秒,ISO200)
天気のいい日曜日。川崎市の生田緑地にある日本民家園の庭先で、もうヤブカンゾウが咲いていました。このオレンジのお花を見ると、夏だなぁと思うのです。DP3Merrillの50mmF2.8を開放で使って。
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さて、前回は、トヨタのレクサスブランドとトヨタブランドの作り方の違いなどに触れてきました。HSの場合、トヨタブランドには兄弟車のSAIがあります。

〈TOYOTA SAI〉 2015.1.17 お台場・TOYOTA MEGAWAVE にて (SIGMA DP1Merrill/F4.5,1/80秒,ISO200)
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SAIは、コロナサイズでミニクラウンのようなFRの小型セダン・プログレの後継車として開発されたセダンです。プログレは小さな高級車という日本では難しいコンセプトのクルマでしたが、私はこのクルマ、とても好きでした。私の周囲でも、お世話になった先輩がマークⅡの代替えにプログレを購入したのですが、色々な事に拘りのあるその方らしい選択でした。一方、SAIはプリウスに次ぐハイブリッド専用車として初めてのセダンでした。2009年にこのクルマが登場したとき、アップデートしたマークⅡのように感じ、トヨタが新しい時代に入ったのだなと実感したことを覚えています。
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SAIは、全長が4,695mm とHSよりもわずかに小さなサイズで、HSの全長が4,710mmと日本の小型車規格である5ナンバーサイズの全長(4,700mm以下)を僅かに超えるのに対し、4.7m以下にされている点が国内専用車として考えられている設計だと感じます。
SAIはトヨタブランドなので、内装の素材・カラーは、メーカーが仕立てた組み合わせを選ぶ「吊し」の作り方です。HSとインテリアの基本的な造形は同じであるものの、ずっと落ち着いたオーソドックスな印象です。
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SAIの内装色はトヨタブランドとしては多い方で、ファブリックで3色。写真はブラックですが、濃い茶色の差し色が入っています。細かいディティールでいうと、右側に青いパワースイッチがあるのはトヨタブランドならでは。レクサスは輸出があるので国際的に一般的な中央に配置されている点が違いです。
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(HSの場合は、パワースイッチは、ダッシュボードエアコン吹き出し口の横にあります。左ハンドル車の場合は、右手で押せるのでいいのですが、国内用に右ハンドルにすると左手で押さないといけないので、大したことではありませんが、あえて国内用と限定するなら、SAIのように右側にあった方が違和感はないと思います。)
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SAIの場合、ボディカラーが7色、内装はファブリックが3色で本革はブラックのみという風に仕様が絞られている吊しの作り方である点がトヨタブランドならではで、HSのように、ボディカラーが10色、インテリアの素材がファブリック、本革、セミアリニン本革と3種類、色が6色ある中から自分の好きな組み合わせをオーダーする方法との違いです。
内装色も、MC後のHSのイメージカラーは「エクリュ」(生成り色)という日本では伝統色ではないフランス由来の色を中心に明るい華やかな色を配しており、これらを自由に組み合わせてオーダーすることで、欧州(風)のエレガントなクルマの仕立て方を楽しむという狙いだと思います。一方、MC後のSAIは、トヨタ車に多いフラクセン(亜麻色)、ブラックの他に「アカネ」=茜色を設定し、この中から選んでくれという吊しの仕立て方です。色合いも落ち着いていますので、この方が面倒では無くて良いという場合には、価格も抑えられているのでずっと合理的な選択だと思います。また、茜色は、万葉の時代から古来日本にある伝統的な色です。メディアはそういう事を全然触れていませんが、メーカーは、非常にコンセプトを煮詰めている感じがします。SAIは、女優さんをCMのイメージに使って、女性に対するアピールを高めていますが、私は、実はSAIのコンセプトのターゲットには、落ち着いた色合いを好む中高齢の男性に違和感がないようにしているのではないかと考えています。実際、トヨタのショールームであるMEGAWAVEに展示されていたこのSAIも、内装色はいちばん落ち着いたブラックを展示しているわけですし、SAIのHPに載っている「オーナーズヴォイス」の欄を見ても、今日時点では、全員が40代以上の男性です。それがまさに、ミニクラウンのようなプログレの後継車ということではないかと思います。
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SAIは、私はよりオーソドックスなMC前のスタイルの方が好きでした。HSもボディはそうなんですが。HSとSAI、どちらが好みかははっきり分かれると思います。
HSに魅力を感じる方に、SAIは検討対象にならないでしょうし、SAIがいいという方にはHSはピンと来ないでしょう。
私はこの2車はいい作り方をしていると思いますが、自動車車評本などを見ていると、こういう兄弟車的な作り方がブランド戦略上不利ではないか的な意見を目にします。
私からすれば少々違和感がある意見ということになりますが、この辺りは次回。


by bjiman | 2015-06-29 07:59 | CAR
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